親族間の不動産売買でできる節税対策とは?名古屋の司法書士兼宅建士が、生前贈与との違いや注意点を解説
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親族間売買は、価格設定や税務判断を誤ると、後から大きな問題になることもあります。
また、家族間だからこそ、感情的な行き違いが長期化するケースもあります。
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親族間の不動産売買はなぜ増えているのか|相続前の「財産整理」が大きなテーマに

親族間売買とは、親子・兄弟・親族間などで行う不動産売買のことです。

代表的なのは、親名義の自宅を子どもが買い取るケースです。

以前は「相続で引き継げばよい」という考え方が一般的でした。しかし、現在は次のような社会背景から、生前に整理したいというニーズが増えています。

1 空き家問題の深刻化

高齢者の死亡後、実家が空き家化し、そのまま放置されるケースが全国的に増えています。

名古屋市内でも、郊外住宅地では相続後に売却できず、維持費だけが発生している事例が珍しくありません。

特に築年数の古い戸建ては、建築費高騰の影響で解体費も上昇しており、「持っているだけで負担になる不動産」も増えています。

そのため、親が元気なうちに、住み続ける子どもへ売却し、管理責任を明確にしておきたいという考え方が広がっています。

2 相続人同士のトラブル予防

不動産は現金と違い、平等に分けにくい財産です。

例えば、長男が親と同居していた場合、相続後に「その家を誰が取得するのか」で兄弟間でもめることがあります。

しかし、生前に適正価格で売買しておけば、財産関係を明確に整理しやすくなります。

実際、名古屋市中川区に実家を持つ70代のご夫婦から、次のような相談がありました。

「長男夫婦が同居しているが、相続時に他の兄弟ともめたくない。今のうちに長男へ売却し、その代金を老後資金として確保したい」

このケースでは、単なる名義変更ではなく、売買契約・代金授受・住宅ローン・登記・税務を整理しながら進めたことで、後の紛争予防にもつながりました。

3 近年の税制改正の影響

生前贈与については、近年の税制改正で「相続開始前の持ち戻し期間」が延長される方向になっています。

また、2024年以降は相続時精算課税制度にも年間110万円の基礎控除が新設され、従来とは制度設計が大きく変わりました。

そのため、「単純な生前贈与」だけではなく、売買形式を含めた総合的な財産移転を検討する方が増えています。

もっとも、税制は個別事情によって有利不利が大きく変わります。

インターネット上では、「毎年110万円ずつ贈与すれば安全」などの情報も見かけますが、実際には相続財産への加算や税務上の評価が問題になるケースもあり、一律には判断できません。

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親族間売買を活用した節税・生前対策の具体例

親族間売買は、単に名義を変えるための手続きではありません。

「誰に」「いつ」「どの価格で」「どの方法で」移転するかによって、相続・税務・家族関係に大きな違いが生じます。

ここでは、実際によくある活用パターンをご紹介します。

1 親の自宅を子どもへ売却して相続対策を行う

最も多いのが、親が所有する自宅を子どもへ売却するケースです。

例えば、名古屋市昭和区で一戸建てを所有する80代の母親が、同居している娘へ自宅を売却するケースを考えてみます。

この場合、売買代金を親の老後資金や介護費用に充てられるだけでなく、将来の相続財産を整理しやすくなるメリットがあります。

また、子ども側からすると、早い段階で所有権を取得できるため、リフォームや建替え計画も立てやすくなります。

特に最近は、建築費高騰の影響で「将来建替えるより、今ある建物を活用したい」という考え方も増えています。

2 収益不動産を次世代へ移転する

名古屋市内では、アパートや月極駐車場を所有している高齢者も少なくありません。

このような収益不動産は、相続時に共有状態になると管理が複雑化しやすく、親族間トラブルの原因になることがあります。

そのため、生前に子どもへ売却し、経営主体を早めに移転しておくケースがあります。

特に、今後は人口減少によって地方部の賃貸需要減少も予想されています。

そのため、「今のうちに次世代へ管理を引き継ぎ、修繕や経営方針を若い世代に任せたい」という考え方も増えています。

3 贈与ではなく「売買」にする意味

親族間で不動産を移転する場合、「贈与」と「売買」は似ているようで、法的・税務的な意味が大きく異なります。

例えば、極端に安い価格で売買すると、差額部分が実質的な贈与と判断される可能性があります。

逆に、適正価格で売買し、代金授受も明確に行われていれば、財産移転の合理性を説明しやすくなります。

そのため、親族間売買では、次の点が特に重要になります。

・不動産価格の根拠 ・売買契約内容 ・代金支払の実態 ・住宅ローンの利用状況 ・固定資産税評価額との比較 ・他の相続人との公平性

親族間だからこそ、「口約束」で進めるのではなく、第三者に説明できる形を整えておくことが非常に重要です。

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親族間売買で失敗しやすいポイント|税務・ローン・登記の注意点

親族間売買は、通常の不動産売買よりも慎重な設計が必要です。

特に次のような問題は、実務上よく起こります。

1 住宅ローンが利用できないケースがある

親族間売買では、金融機関の審査が厳しくなることがあります。

これは、実態が「売買」ではなく「贈与」ではないかと慎重に確認されるためです。

特に、

・売買価格が相場より極端に安い ・代金授受が曖昧 ・居住実態が不明確 ・親が住み続ける

といった場合は、融資が難しくなることがあります。

そのため、親族間売買に理解のある金融機関選びや、契約内容の整備が重要になります。

2 安すぎる売買価格は危険

例えば、時価3000万円程度の不動産を100万円で売却した場合、税務上は差額部分について贈与と判断される可能性があります。

親族間だから自由に価格設定できると思われがちですが、税務上は「著しく低い価額」での取引には注意が必要です。

不動産価格には、

・実勢価格 ・路線価 ・固定資産税評価額 ・収益還元価格

など複数の考え方があります。

特に名古屋市内は、エリアによって価格差が大きく、中区・東区・千種区など都心部と、郊外住宅地では市場性がかなり異なります。

そのため、単純に「固定資産税評価額だけ」で判断すると危険な場合もあります。

3 登記だけでは解決しない

インターネット上では、「親族間売買なら登記だけ依頼すればよい」と考える方もいます。

しかし実際には、

・契約内容 ・税務 ・住宅ローン ・抵当権 ・相続対策 ・他の相続人への配慮

などを総合的に考える必要があります。

例えば、父親名義の不動産を長男へ移転した結果、他の兄弟から「実質的な財産の先渡しではないか」と問題視されるケースもあります。

また、親族間売買後に親が認知症になった場合、売買時の意思能力が争われるリスクもゼロではありません。

そのため、契約時点での状況整理や、将来を見据えた記録化も重要になります。

4 専門家選びで結果が変わる

親族間売買は、「不動産」「登記」「税務」「相続」の知識が横断的に必要になる分野です。

ところが、実際には、

・契約だけ作る人 ・登記だけ行う人 ・税務だけ見る人

という分断対応になっていることも少なくありません。

その結果、後から「贈与税の問題が出た」「他の相続人ともめた」「ローンが通らなかった」という事態になることがあります。

親族間売買では、単なる手続きではなく、「将来の家族関係まで見据えた設計」が重要です。

特に名古屋では、親族同士の関係性を重視し、「もめたくない」という価値観を持つ方も多く、形式面だけでなく、感情面への配慮も必要になる場面があります。

司法書士兼宅地建物取引士であれば、登記だけではなく、不動産取引全体を踏まえて相談しやすい点があります。

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