名古屋の個人間の不動産売買事情

~司法書士が見る「プロを介さない不動産取引」の実情と注意点~
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1.名古屋で広がる「個人間取引」の背景と実態

近年、名古屋市では不動産の売買において、不動産会社を介さずに「個人間で直接契約を結ぶ」というスタイルの取引が少しずつ広がりを見せています。かつては不動産取引といえば、必ずといっていいほど不動産会社に依頼し、仲介のプロセスを経るのが一般的でした。しかし今では、「親族間での土地の売買」や「友人同士での住宅の譲渡」、「インターネットを使って知人以外と取引する」といったケースが徐々に浸透しつつあります。

このような個人間取引が名古屋市で増えてきた背景には、いくつかの社会的・経済的要因が重なっています。

仲介手数料を節約したいという思い

まず第一に挙げられるのが、不動産会社への仲介手数料を節約したいという考えです。不動産売買では、売主・買主それぞれが不動産会社に支払う「仲介手数料」が発生します。金額としては、売買価格の3%+6万円(税別)が上限となるため、たとえば3,000万円の物件であれば、10万円近い費用がかかる計算になります。

このようなコストを避けるため、「信頼できる相手がいるなら直接やり取りした方が安く済む」と考える方が増えているのです。特に、親族間や長年の友人など、関係性がすでに築かれている間柄であれば、「わざわざ仲介に出す必要はない」と判断されがちです。

インターネットの普及と「自力でできる」という風潮

次に、インターネットの普及も個人間取引を後押ししている大きな要因です。近年では、不動産情報を個人が掲載できるポータルサイトやマッチングアプリ、SNSなどが増え、誰でも気軽に物件を探したり、売り出したりできる環境が整ってきました。

これにより、「不動産会社に頼らなくても、自分で取引相手を見つけられるのでは」と考える方が増えています。とくに若い世代やインターネットに慣れている層では、「自分で検索・交渉・契約書の作成までできそうだ」と感じる方も多いようです。

ただし、不動産取引は金額が大きく、かつ法律・税務・登記など複数の専門分野にまたがるため、**「やってみたら意外と難しかった」「思わぬリスクがあった」**と気づいてからでは遅いケースもあります。

名古屋市の地域特性が生む“個人間売買”のニーズ

名古屋市には、他都市と比較しても個人間売買が起こりやすい特徴的な環境があります。

たとえば:

相続された戸建て住宅や空き家が多い
 名古屋市は、昭和期に建てられた戸建て住宅が多く、高齢化に伴い相続が発生しやすい地域です。相続した不動産を親族間で売買・譲渡するケースでは、自然と個人間取引が選ばれる傾向があります。

地縁・血縁関係が今も強いエリアがある
 特に南区、守山区、港区などでは、地元に親族や知人が多く、「知っている人に譲る・売る」という選択が比較的多く見られます。このような地域性は、個人間での不動産取引が成立しやすい土壌となっています。

地価の差が大きく、低額物件もある
 名古屋市はエリアごとの不動産価格の差が大きく、中心部と郊外で数倍の価格差が生じることもあります。なかには数百万円台の空き家や土地もあり、不動産会社に依頼する手数料が割高に感じられる場合、直接やり取りを選ぶ方が多くなります。

一見、自由で合理的だが「落とし穴」も多い

このように、名古屋市の不動産市場では、個人間で売買が成立しやすい条件がそろっています。一見すると、「余計な費用がかからず、お互い納得していれば問題ない」「身内同士だから信頼できる」と思えるかもしれません。

しかし、実際には不動産という特殊な財産の売買には、多くの専門的な知識と確認作業が求められます。建物や土地の状況、法的な権利関係、隠れた瑕疵の有無、税金の計算や申告、そして最も大切な登記手続きまで、ひとつでも誤りがあると、後々のトラブルに発展する可能性が高くなります。

そのため、個人間であっても、「契約書の作成や登記は専門家に任せたい」「価格の妥当性や税金のことを確認したい」と考える方が増えており、**個人間売買における“部分的な専門家の関与”**というスタイルが、名古屋市でも少しずつ浸透してきているのが実情です。

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2.個人間売買に潜むリスクとトラブル事例

不動産の売買は、日常生活ではなかなか経験しない高額な取引であり、法的にも税務的にも複雑な要素が絡み合います。そのため、専門家のサポートがないまま進める「個人間の不動産売買」には、思わぬ落とし穴がいくつも存在します。

名古屋市のように、相続不動産の売買や親族間での土地建物のやり取りが多い地域では、こうした個人間取引に関するトラブルのご相談を司法書士が受ける機会も少なくありません。以下では、特に注意すべきリスクと、実際に起こりがちなトラブル事例を詳しくご紹介します。

① 契約書の内容が不十分、曖昧で後から揉める

個人間で契約書を作成する際、インターネットからダウンロードしたひな型をそのまま使用したり、口頭のやり取りを記録せずに進めてしまったりするケースがよく見られます。しかし、不動産売買においては、契約書に記載するべき**「最低限のルール」**があります。

たとえば、以下のような項目は非常に重要です:

売買代金の支払い方法(いつ・どのように支払うか)

引渡しの時期と条件(残置物があるか、建物の状態はどうか)

登記手続きの責任分担(誰が手続き費用を負担するのか)

瑕疵担保責任(売主が責任を負う期間と範囲)

これらが抜けている、あるいは不明確なまま契約してしまうと、「支払いが遅れた」「引き渡し後に不具合が見つかった」「修繕費は誰が払うのか」などといったトラブルにつながります。とくに親族や友人との取引では、「口約束で済ませた」「念のために契約書を書いただけで詳細は決めていなかった」という事例が多く、後で感情的な対立に発展することも少なくありません。

登記を怠る・誤ることで所有権が不安定に

不動産の売買が完了したら、**必ず登記(所有権移転登記)**を行う必要があります。しかし、個人間取引では「登記は後日やろう」「忘れていた」「どこに頼めばいいかわからない」といった理由で放置されるケースが意外と多いのです。

名義が変更されていないと、たとえお金を払って建物を引き渡されていても、法的にはまだ前の持ち主のままという状態です。これにより、

売主に万一のことがあった場合(死亡・破産など)、物件が第三者に相続・差押えされる

売主が二重に売却してしまい、トラブルになる

買主がリフォームや売却をしようとしても所有者でないためにできない

といった重大なリスクが発生します。また、登記に必要な書類(印鑑証明書や評価証明書、登記原因証明情報など)を正しく準備できていないと、法務局で申請が受理されず、結局専門家に相談せざるを得なくなることもあります。

③ 境界・権利・建物の状態などの調査不足

不動産業者が仲介に入る場合、売買に先立って土地の境界確認や建物の状況調査(インスペクション)、法令上の制限の確認などを行います。ところが、個人間売買ではこうした調査が一切省略されることがほとんどです。

名古屋市のように、古い住宅地や再建築不可の土地が多い地域では、

「実は隣地との境界が不明確だった」

「建物が建築基準法に適合していなかった」

「敷地の一部が道路として使われていた」

「以前の増改築が未登記だった」

といった後から判明するトラブルが頻発します。こうした問題は、買主が建て替えや売却を検討したときに大きな支障となるため、事前の法的確認や現地調査が極めて重要です。

④ 税金の申告漏れ・課税リスクの見落とし

不動産の売買には、さまざまな税金が関わってきます。売買代金の授受だけでは終わらず、売主・買主の双方がそれぞれの立場で税務処理を適切に行う必要があります。

たとえば:

売主には、譲渡所得税の申告義務(特に取得費の証明が必要)

買主には、不動産取得税・登録免許税の納税義務

双方には、売買契約書に貼付する印紙税の負担

また、個人間で相場よりも大幅に安い価格で取引すると、税務署から「実質的には贈与ではないか」と判断され、贈与税が課税されることがあります。とくに親族間取引ではこのリスクが高く、売買契約であっても「形式だけ」とみなされると課税額は想像以上に大きくなることもあります。

税金の知識がないまま自己判断で進めてしまうと、後になって高額な追徴課税や延滞税が発生し、家計に大きな影響を及ぼすこともあります。

⑤ トラブルが起きても「守ってくれる仕組み」がない

不動産業者を通した取引には、宅地建物取引業法に基づく重要事項説明義務や損害賠償責任、苦情処理制度などが整っています。万一トラブルが起きた場合、責任の所在が明確で、一定の救済手段も用意されています。

一方、個人間の売買では、法的トラブルが起きても、

誰に相談すればよいかわからない

契約書の内容に法的効力がなかった

証拠がなく言い分が食い違う

という状況に陥りやすく、最終的には裁判沙汰になることすらあります。とくに口約束や不完全な契約内容のまま進めた場合、後から「言った・言わない」の水掛け論になることも多く、解決には長期間と費用がかかります。

このように、個人間での不動産売買には見えにくいリスクが数多く潜んでおり、信頼関係があっても法的・実務的なトラブルは避けられない可能性があります。大切なのは、「相手を信頼しているから大丈夫」ではなく、「お互いに安心できるために、第三者のサポートを入れる」という発想です。

次のセクションでは、司法書士の立場から見た、こうした個人間売買を安全・確実に行うための具体的な対策とポイントをご紹介します。

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3.司法書士の立場から見る「個人間売買」のポイントと安心な進め方

個人間での不動産売買には、専門家を介さないがゆえの自由さがあります。しかし、その反面、契約や登記に関する知識が不足していたり、細かなリスクへの対応が不十分なまま進めてしまったりすることで、後にトラブルや損失につながることが少なくありません。とくに名古屋市のように不動産の価格帯や法的規制が地域ごとに異なる都市では、注意すべき点も多岐にわたります。

そうした中で、司法書士のサポートは、個人間売買における“安全装置”としての役割を果たします。以下では、司法書士がどのようにして取引を支え、何をチェックし、どのような安心を提供できるのかを、ポイントごとにわかりやすく解説していきます。

① 法的に有効で安心できる契約書の作成サポート

個人間売買において、契約書の作成は最も重要なステップの一つです。
司法書士は、法律の専門家として、契約書の構成・記載内容が法的に適正であるかを確認し、必要に応じて修正・助言を行います。

特に次のような点は、実務でよく誤解されやすく、トラブルに直結する部分です:

売買代金の支払時期と方法

所有権の移転時期と登記申請の責任分担

瑕疵(欠陥)に対する責任の有無と期間

土地の境界や越境の取り扱い

建物内の残置物の処分

たとえば、親族間で「土地を安く売る」という契約内容にした場合でも、価格が実勢価格より極端に低いと税務上は贈与とみなされ、贈与税の対象になることがあります。こうしたリスクを理解し、適切な形に整えるのも司法書士の役割です。

② 所有権移転登記を確実かつスムーズに進める

個人間売買において、契約後に所有権移転登記を行うことは、買主の権利を法的に守るために不可欠です。司法書士はこの登記申請の専門家であり、必要な書類の整備から法務局への提出までを一貫して担います。

登記の際に必要となる書類は多数あります:

売買契約書

登記原因証明情報

委任状

印鑑証明書

固定資産評価証明書

登記簿謄本(全部事項証明書)

これらを正確にそろえ、法的に整合のとれた形で登記を行うには、専門的な知識と経験が求められます。とくに、旧耐震の建物、農地、再建築不可物件などを扱う場合は、地域の実情や行政の判断も踏まえて柔軟に対応する必要があります。

名古屋市では、都市計画区域や用途地域の影響を受ける土地も多く、地元の法務局の取り扱い方針に精通した司法書士であるかどうかが、スムーズな登記手続きの成否を左右します。

③ 税務上のリスクを事前に確認・回避する

売買価格の設定、所有期間、売却益の有無などによって、売主・買主それぞれに関係する税金が変わってきます。司法書士は税務代理人ではないため税金の申告は行いませんが、税理士と連携し、事前に税務リスクを整理する体制を整えることが可能です。

特に注意が必要なのは:

譲渡所得税(売主にかかる)

不動産取得税(買主にかかる)

登録免許税(登記時に発生)

印紙税(契約書に課税)

たとえば、親が子に土地を売却する際に相場より極端に安い価格を設定してしまうと、「贈与とみなされる」可能性があるということは、一般の方にはなかなか気づけません。こうした“見えない課税”に対して、事前のシミュレーションと正しい対応策を講じておくことが、後の安心につながります。

④ 客観的な立場でのアドバイスと調整が可能

司法書士は、売主・買主いずれか一方の利益のみに偏ることなく、中立・公正な立場から、法的な観点で事実確認やアドバイスを行うことが可能です。これにより、感情的なやり取りに陥ることなく、冷静に事務的な判断を進めることができます。

とくに家族・親族間での売買では、相続との絡みもあるため、「今後の財産分配をどうするか」「将来的にトラブルにならないようにしたい」といった配慮が必要になる場面もあります。そうしたとき、司法書士が間に入ることで、お互いの思いや意図を法的に形にし、誤解や不信感を未然に防ぐことが可能です。

また、不動産の専門家としての「宅地建物取引士」の資格を併せ持つ司法書士であれば、契約や登記だけでなく、物件の評価や将来性、再建築や分筆の可能性、権利関係の整理などについても、より具体的で実践的な助言を行うことができます。

⑤ 個人間売買でも“専門家に任せる部分”を明確に

個人間の不動産売買は、「自由で柔軟な取引」という利点がある一方で、その自由さがリスクにつながることもあります。すべてを自分たちで行おうとせず、リスクの大きい部分、専門知識が必要な部分だけは専門家に任せるという考え方が、賢明な方法です。

とくに名古屋市のように、不動産価値が高く、地価や用途地域が複雑に絡み合う都市では、司法書士の関与によって“想定外のトラブル”を未然に防ぎ、安心・安全な取引を実現することが可能です。

名古屋市で不動産の個人間売買を検討されている方にとって、司法書士は「登記をする人」以上の存在です。契約内容のチェックから、税務リスクへの対応、登記の実行、そして公正・中立な立場での調整役まで、個人ではカバーしきれない範囲を専門的にサポートすることができます。

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監修 不動産売買仲介についてはごとう不動産事務所監修

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