不動産の個人間売買の不都合な真実を専門家がこっそり教えちゃいます。
親族や友人などで土地や家を売買しようとしている方は必見です。
ごとう司法書士事務所
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ポイントを司法書士兼宅地建物取引士が解説します。
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1. 契約内容があいまいになりやすく、トラブルの温床に

不動産の個人間売買でもっとも多く見られるトラブルの原因は、**「契約内容があいまいなまま話が進んでしまうこと」**です。知人や親戚との取引だからといって、「言った・言わない」で済ませてしまうと、後から大きな揉め事に発展しかねません。

たとえば、あるケースでは「雨漏りは直して引き渡すつもりだった」と売主が思っていたのに、買主は「直したとは聞いていない」と主張し、引き渡し後に修繕費をめぐってトラブルになりました。また、「物置や庭の一部は自分のものだと思っていた」「越境しているブロック塀があるが、黙認している」といった、土地の状態や境界に関する認識のズレも、契約後に争いになることがあります。

不動産というのは、単に土地や建物の形があるものを買うだけではなく、権利関係や周辺環境、法的制限まで含めた“総合的な取引”です。ところが、個人間で話をまとめる場合、どうしても「このくらいは分かってくれているはず」「言わなくても察してくれるだろう」といった、曖昧な合意のまま契約書を交わしてしまうことがあります。場合によっては、契約書そのものが作成されていなかったり、インターネットからテンプレートをコピーして項目だけ埋めたような簡易なものだったりすることも少なくありません。

しかし、不動産売買契約においては、「どこからどこまでが売却対象なのか」「瑕疵(かし)=欠陥が見つかったときに誰が責任を負うのか」「引き渡し日はいつなのか」「手付金や残金の支払いはどのように行うのか」といった項目を、明確に文書にして残しておく必要があります。これらを正確に定めていなければ、法的に契約そのものが不完全と判断されるおそれもあります。

また、宅建業者を介して不動産取引をする場合は、取引士によって「重要事項説明書」が作成され、買主に対して不動産の権利関係、法令による制限、インフラの整備状況などについて詳しく説明がなされます。しかし、個人間売買ではこのような説明が行われないまま契約が進められることが大半です。買主は、「知らなかった」「聞いていない」と後から不満を持つ一方、売主としても「説明義務があるとは思わなかった」と困惑する状況に陥りやすいのです。

特に中古住宅では、構造の劣化や設備の不具合があることが多く、それらが契約時にきちんと明記されていないと、引き渡し後に「欠陥住宅だ」として損害賠償請求を受けることもあります。売主としては善意で売ったつもりでも、説明を怠ったと見なされれば、法律上の「契約不適合責任」を問われる可能性があるのです。

さらに、こうしたトラブルは感情的なもつれを招きやすいという点でも深刻です。もともと親しい間柄だったはずの友人や親族同士が、売買をきっかけに関係が悪化してしまう例は少なくありません。「お金の話をすると角が立つから」と避けた結果、後になって余計に大きな問題となってしまうのです。

このように、個人間の不動産売買においては、「契約書の不備」「説明不足」「認識の違い」が重なりやすく、それが重大なトラブルの火種となります。金額が数百万円〜数千万円にもなる不動産取引においては、たとえ相手が親しい人であっても、いや、むしろ親しいからこそ、第三者の専門家が間に入り、客観的・法的に正確な契約書を作成することが不可欠です。

司法書士は、不動産の登記手続きの専門家であると同時に、売買契約書のチェックや、契約条項のリスク確認にも対応できる法律専門職です。とくに宅地建物取引士資格も有している司法書士であれば、不動産の実務と法律の両面から、トラブルを未然に防ぐ具体的なアドバイスを受けることが可能です。

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2. 登記や税務の手続きが正確に行われないリスク

不動産の個人間売買において、もう一つ見落とされやすい重大なポイントが、登記や税金の手続きが正確に行われていない、あるいはそもそも手続きをしていないというリスクです。

不動産の取引は、単にお金を支払って鍵を受け取れば完了するものではありません。法律上、所有権を正式に移転するためには、法務局で「所有権移転登記」を行う必要があります。ところが個人間の取引では、こうした登記の重要性が正しく理解されていないことが多く、「書類が揃っていない」「申請方法が分からない」「後でやればいいと思っていた」という理由で、登記が放置されるケースが少なくありません。

登記がされていない不動産は、見た目は買主が所有しているようでも、法律上は依然として売主の名義のままです。この状態では、たとえば買主が住宅ローンを組むことができなかったり、第三者に売却することもできなかったりするほか、将来的に相続や差押えのリスクにさらされることになります。

たとえば、登記をしないまま放置していたら、売主が別の債務で財産を差し押さえられ、買主の購入した不動産がその対象になってしまった——という深刻な事例も実際にあります。これは、登記によって「自分が所有者である」ことを第三者に対して主張できるという、不動産登記の持つ「対抗力」が備わっていなかったことが原因です。

さらに、登記手続きには複雑な書類の準備が求められます。売買契約書の内容が正確でなければ登記申請が受理されませんし、登記原因証明情報、固定資産評価証明書、売主・買主双方の住民票や印鑑証明書など、多くの添付書類が必要です。これらを正確に揃え、期限内に申請しなければならないという点で、登記は決して「素人でも簡単にできるもの」ではないのです。

また、税金の手続きについても油断はできません。不動産の売買に伴って発生する主な税金には、以下のようなものがあります:

登録免許税(登記時に必要)

不動産取得税(買主が後日納付)

譲渡所得税(売主に発生)

印紙税(契約書に貼付)

たとえば、個人間売買で価格を不自然に低く設定した場合、「これは売買ではなく贈与ではないか」と税務署に判断され、高額な贈与税を課される可能性もあります。これは親族間での売買や、相場価格より著しく低い売買価格での取引で、実際に発生している典型的なトラブルのひとつです。売主が「贈与のつもりではなかった」と主張しても、契約書の記載や振込の実態から判断されてしまうため、意図とは異なる課税結果になってしまうことがあるのです。

また、買主が支払う不動産取得税についても、申告や納付を怠ると、後日延滞金が加算された状態で通知が届くことになります。これも「知らなかった」「不動産会社を通していないから発生しないと思っていた」といった誤解から起きる問題であり、決して珍しいものではありません。

不動産の登記・税務の処理は、たとえ個人間の売買であっても、「正確に・適切に・タイミングよく」行う必要がある、法律に基づく正式な手続きです。個人の判断だけで進めた結果、取り返しのつかない問題に発展してしまう前に、専門家に確認することが大切です。

司法書士は、登記の専門家として、必要書類の案内から申請書の作成、法務局への提出までを一貫してサポートすることができます。また、税務の知識にも精通しており、取引の形態によってどのような課税が想定されるか、税理士と連携しながら適切な助言を行うことができます。

特に、宅地建物取引士の資格も有する司法書士であれば、法律・登記・取引実務の全体を見渡したアドバイスが可能です。「税金の申告は後で考えればいい」「登記はそのうちやろう」といった甘い見通しが、将来の大きな損失につながることもあるという事実を、ぜひ知っておいてください。

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3. 将来の売却や相続に悪影響を及ぼす可能性

不動産の個人間売買において最も見落とされがちなリスクのひとつが、「将来にわたって影響を及ぼす可能性がある」という点です。取引をした当人同士は「お互いに納得しているから問題ない」と思っていても、その売買が将来の売却や相続の際に重大な障害となることがあります。

たとえば、契約書の内容が不完全だったり、所有権移転登記がされていなかったりするケースでは、次にその不動産を売却しようとしたときに「法的な所有者が誰なのか分からない」「契約書類が揃っていないために買主が不安がっている」「そもそも売却自体ができない」といった事態に発展する可能性があります。

実際の例として、親族間で土地の売買を口約束で行い、書面も登記も行っていなかったために、親が亡くなった後、子が「これは自分の土地だ」と主張したものの、登記簿には親の名前のままだったため、相続人全員の協議と同意が必要となり、話がこじれてしまったという事例があります。このように、一世代前の不備が、次の世代に深刻な負担を残すのです。

また、個人間で売買した不動産の多くは、境界の確認やインフラ(上下水道、道路との接道など)に関する資料が整備されていないことがあります。こうした不明瞭な状態のままでは、不動産業者に仲介を依頼しても、買い手が現れにくく、価格も大きく下がってしまいます。特に都市部を離れたエリアでは、売却のしやすさは「信頼性のある書類が整っているか」に大きく左右されます。

さらに、相続時に問題が表面化することも多くあります。被相続人(亡くなった方)が個人間で取得した不動産について、名義が被相続人のままであったり、購入時の契約書や領収書などが保存されていなかったりすると、相続人は正確な評価や権利関係の把握ができず、遺産分割協議が難航します。「不動産があるのは知っているが、誰の名義か分からない」「書類が見つからず、登記ができない」といった声は、相続の現場で非常によく聞かれます。

また、不完全な形での個人間売買は、税務上も将来的なリスクをはらんでいます。たとえば、売買価格が極端に安かった場合、将来の相続時に「実質的には贈与だったのでは」と判断され、相続税に加えて贈与税の追徴課税が行われる可能性もあります。これは税務署が過去の取引までさかのぼって調査する権限を持っているからです。

不動産という資産は、持っている人の生涯だけで完結するものではなく、その後の世代にも引き継がれていく資産です。だからこそ、売買の段階で適切な契約・登記・書類の整備を行っておくことが、「資産としての価値を保つ」「家族に迷惑をかけない」ために必要なのです。

また、近年では、空き家問題が社会的な課題となっており、使われていない不動産が相続人の手に渡ったまま、名義が曖昧で処分もできないまま「放置」されるケースが急増しています。個人間売買の段階で法的な整備がされていない不動産は、こうした“宙ぶらりんの空き家”予備軍となってしまう可能性があることも意識すべきです。

このように、「今は大丈夫」と思っていても、不動産は数年・数十年後に問題が表面化することがある資産です。たとえ家族や知人同士であっても、正しい手続きや契約内容を備えていなければ、のちのち大きなトラブルとなり、家族間の信頼をも損ねる可能性があります。

司法書士は、こうした将来的なリスクを見越して、契約・登記・相続を含めた全体像を把握したうえで、的確なアドバイスや手続きをサポートできます。不動産の個人間売買は、ただ「お金を払って引き渡す」だけで済むものではありません。「いま安心して取引できること」「将来の不安をなくすこと」——その両方を実現するために、専門家による確認と支援が不可欠なのです。

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