兄弟姉妹、親子、ご近所、友人同士の不動産売買を検討している方へ
安心安全に手続きを進めるヒントをお伝えします。
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1. なぜ今、個人間売買が注目されているのか

近年、不動産の売却方法として「個人間売買」に注目が集まっています。これは、親族や知人、あるいは買主・売主が直接知り合った個人同士が、不動産会社などの仲介業者を介さずに売買契約を結ぶ形態を指します。

このような取引形態が注目されている背景には、社会的・経済的な事情がいくつも重なっています。その主な理由をいくつかの視点から詳しく見ていきましょう。

■ 空き家問題と相続不動産の増加

まず第一に挙げられるのが、日本社会における「空き家問題」の深刻化です。特に、団塊の世代と呼ばれる大量の高齢者が相次いで相続や老後の住まいの整理を進める中で、使わなくなった実家や地方の不動産を手放したいというニーズが急増しています。

こうした不動産は、親から子へ、または親族間で譲り渡されるケースが多く、「第三者に売るよりも、家族や親しい人に売却したい」「安くしてもいいから信頼できる相手に使ってもらいたい」という考え方が強まっています。市場価格よりも気持ちを重視した取引が求められるため、不動産会社を通じての形式的な売却より、柔軟な対応ができる個人間売買が現実的な選択肢として浮上しているのです。

■ 仲介手数料の節約とコスト意識の変化

不動産会社に仲介を依頼した場合、売主・買主のいずれか、または双方が「仲介手数料」を支払うことになります。この手数料は売買価格の3%+6万円(税別)が上限とされており、例えば3,000万円の不動産であれば約100万円弱の費用が発生します。高額な取引になるほどこの負担は大きく、「身内でやるだけなのに、こんなに払わないといけないの?」という疑問を抱く方も少なくありません。

そこで「自分たちで売買契約を結べば、仲介手数料が不要になる」という発想に至るわけです。近年は物価高や将来の生活への不安から、老若男女を問わずコスト意識が高まっており、可能な限り支出を抑える選択が評価される傾向にあります。

■ インターネットの進化と情報の自立化

かつては、不動産の取引に関する情報や書類の整備方法は専門家の手に委ねられていました。しかし、今では多くの情報がネット上で簡単に入手できるようになり、不動産登記や売買契約に関する基本的な知識も、一般の方が自分で調べられる時代となりました。

法務局のホームページでは登記申請書の雛形も公開されており、税務署のサイトからは不動産取得税や贈与税の計算例も確認できます。さらに、SNSやブログ、YouTubeなどでは、個人が体験談や実務のポイントを発信しており、かつてより「自分でもできそうだ」と思わせる環境が整ってきています。

ただし、これは「表面的な情報が増えた」だけであり、実際の契約や法的効力を伴う書類の作成においては専門的な判断が求められます。表向きはスムーズに見えても、契約書の不備や権利関係の誤認によるトラブルは後を絶たないのが実情です。

■ 柔軟な条件設定と信頼関係を重視した取引

個人間での売買は、買主・売主の間に直接の対話があるため、契約内容を自由に設定しやすいという特徴があります。「引き渡し日は1か月後にしたい」「ローンの申請に少し時間が欲しい」「隣地の方に売るため境界線の確認も一緒にしたい」など、不動産会社を通す場合には難しいような融通も、個人間であれば柔軟に対応しやすいのです。

また、相手が家族や長年の付き合いがある知人である場合、形式的な審査よりも信頼関係を前提とした取引が可能になるため、心理的な安心感が得られるという声もあります。

このように、社会的背景や経済意識、テクノロジーの進化が重なり合う中で、個人間売買はますます現実的で魅力的な選択肢として注目を集めています。しかし一方で、法的な正確さ、税務上の対応、登記の適切な手続きといった「専門的な支援」がなければ、安全で納得のいく取引を実現することは難しいのも事実です。
次の章では、個人間売買の「落とし穴」とされるリスクについて、具体的に見ていきましょう。

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2. 個人間売買の『落とし穴』とは

個人間で不動産の売買を行う際には、「仲介手数料がかからない」「話が早い」「信頼できる相手と取引できるから安心」といったポジティブな面ばかりに目が行きがちです。しかし、こうした取引には、専門家が介在しないことによって見落とされやすい数々のリスク=“落とし穴”が存在します。

不動産は、一度契約し、登記を完了させてしまえば、後から取り消したり、条件を修正したりすることが非常に困難な資産です。さらに、契約にまつわる書類の一つひとつが法的に意味を持つため、小さなミスが大きな損害やトラブルに繋がりかねません。

ここでは、実際にトラブルになりやすいポイントを、具体的な事例を交えて詳しくご紹介します。

■ 契約書の不備・口約束の危険性

不動産売買契約は、口頭で成立することも可能ではありますが、現実的には書面による明確な契約書が不可欠です。特に個人間売買では、「親戚同士だから口約束で十分」「あとで細かいところは調整すればいい」といった甘い認識のまま取引が進められることが少なくありません。

しかし、金額・支払い方法・引渡し日・契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)など、きちんと取り決めておかなければならない要素は数多く存在します。たとえば、建物に雨漏りやシロアリ被害があったにもかかわらず、それを事前に伝えていなかったことで、後に買主から損害賠償を請求される事例もあります。

また、契約書の雛形をインターネット上で拾って使用した場合でも、その不動産の内容に合った修正がされていないと、契約として無効になったり、重要な権利が保護されない危険もあります。

■ 境界や越境の確認不足

土地を売買する際に重要になるのが、「境界線」の確認です。実際の土地の使用状況と登記簿の記載内容が異なっていたり、隣地の建物や塀が越境している(またはこちらの敷地が越境している)といったケースは珍しくありません。

このような越境状態がある場合、買主としては「将来的にトラブルになる可能性がある土地を買った」というリスクを抱えることになります。個人間での売買では、こうした問題の存在に気づかないまま契約を結んでしまうケースも多く、結果として引渡し後に隣地との紛争が発生することになります。

不動産会社を介する取引では、通常「重要事項説明書」においてこのような点が明示されますが、個人間売買では誰もその説明を行いません。つまり、自分たちで境界の確認や現地調査を行わなければならず、専門的な知識が求められるのです。

■ 税務処理の誤りと贈与認定のリスク

親族間や知人同士での売買では、相場よりも極端に安い価格で不動産を売却するケースがしばしば見受けられます。「どうせ家族だから」「形式だけの売買なので、安くしておこう」といった考えが背景にあります。

しかし、税務署の立場から見ると、こうした安価での売買は「実質的には贈与」であると判断されることがあり、結果として「贈与税」が課税されてしまう可能性があります。特に、土地や建物の評価額に比して極端に低い価格が売買契約書に記載されている場合には、課税当局のチェック対象となりやすいのです。

また、不動産取得税や登録免許税の計算においても、正確な課税標準を把握していないと、後日税額が増額されてしまったり、納税が遅れて延滞金が発生したりすることもあります。こうした税務の見落としも、個人間売買ではよくある“落とし穴”です。

■ 抵当権・差押え等、権利関係の見落とし

もう一つ重要なのが、不動産に付着している「権利関係」の確認です。たとえば、売主が住宅ローンを完済していない場合、不動産には抵当権が設定されており、買主が所有権を得たとしても、その抵当権が抹消されない限り金融機関の担保物件のままとなってしまいます。

さらに、税金の滞納がある場合は、市区町村などによる「差押え登記」がされていることもあり、個人間での取引においてこの点を見落とすと、買主にとって重大な不利益となります。

専門家が関与しない限り、登記簿の読み方や内容の判断ができず、「確かに名義は変わったが、実際には他人の権利が残っていた」といった事態も発生し得るのです。

このように、個人間での不動産売買は、表面的には簡易で経済的に見えるかもしれませんが、法律・税務・登記の各分野において高度な判断と正確な手続きが求められる極めて専門的な取引です。

誤解や思い込み、情報不足によってトラブルに巻き込まれたり、将来的に大きな損害を被るリスクを避けるためにも、取引の前に専門家(司法書士・税理士など)に相談することが何よりも重要です。

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3. 安心して取引を進めるためにできること

個人間での不動産売買には、手軽さやコスト削減といった魅力がある一方で、契約・登記・税務など多くのリスクが存在することをご説明しました。それでは、こうしたリスクを回避し、安心して取引を進めるには、どのような対策を講じればよいのでしょうか。

本章では、トラブルを未然に防ぎ、かつ双方が納得のいく形で不動産の取引を進めるために、ぜひ実践していただきたい具体的な方法を、段階ごとに詳しくご紹介します。

■ まずは「調査」から。事前準備がすべてを左右する

不動産の取引を開始する前に、まず行うべきは対象不動産の現況調査です。これは、売却側・購入側どちらにとっても非常に重要なプロセスであり、いわば「安心できる土台づくり」と言えます。

具体的には、以下のような項目を確認しましょう:

登記簿の内容(所有者、抵当権、地目、面積など)

固定資産評価証明書の取得(税務的な評価額を知るため)

境界の有無と越境の確認(現地を確認し、場合によっては土地家屋調査士に依頼)

建物の状況(築年数、リフォーム歴、瑕疵の有無など)

都市計画や建築制限(用途地域や接道義務などの法規制)

これらの情報を正確に把握することで、相手との条件交渉においても信頼性が増し、不安や誤解を避けることができます。とくに相続や空き家など、長らく利用していなかった不動産では、記憶や古い資料だけに頼るのではなく、客観的な資料に基づいた確認が必須です。

■ 契約書・必要書類は専門家に依頼するのが安心

個人間売買において、最も大きなリスクが潜んでいるのが「契約書類の不備」です。インターネット上に掲載されている無料のひな型を使って契約書を作成するケースも見受けられますが、これらの多くは一般的な内容にとどまっており、個別の事情に対応していないことが大半です。

また、不動産売買契約には、単に物件の売買代金を記載するだけでなく、以下のような要素も丁寧に盛り込む必要があります:

契約不適合責任の範囲と期間

支払方法や期限(手付金、残代金など)

引渡し日や使用開始日

固定資産税・都市計画税の精算方法

公租公課や管理費の負担区分

境界未確定の場合の処理方法

こうした細かな内容を正しく契約書に落とし込むには、法律の理解と実務経験が欠かせません。したがって、契約書の作成は必ず司法書士などの専門家に依頼することを強くおすすめします。

また、同時に必要となる「登記申請書類」や「委任状」などの法務局提出書類についても、正確な様式と内容が求められるため、あわせて専門家に依頼するのが安心です。

■ 税務や評価額についても、事前に相談を

売買価格の設定は、取引全体に関わる重要な要素です。とくに親族間で行う売買では、「市場価格より安く売りたい」「お金のやり取りは最低限で」といった柔軟な考えが生まれやすいのですが、その結果として「贈与」と見なされ、多額の贈与税が課される事態になりかねません。

たとえば、固定資産税評価額が1,000万円の土地を、親が子に300万円で売却した場合、「700万円の利益を無償で与えた=贈与」とされ、贈与税の課税対象になる可能性があります。このようなケースでは、事前に評価額と適正な売買価格のバランスを見極めたうえで、税理士や司法書士と相談しながら進める必要があります。

また、売却益が発生する場合には「譲渡所得税」も課税対象となるため、相続取得や取得年数、居住用特例の有無なども含めた詳細な判断が求められます。一般の方が単独で判断するのは非常に難しく、必ず事前に専門家の助言を受けることが大切です。

■ 書類提出・登記は、必ず正確に

不動産の取引が完了するには、売買契約の締結後、登記簿の「名義変更(所有権移転登記)」を法務局に申請しなければなりません。この登記が完了して初めて、買主が法的に「所有者」として認められることになります。

ところが、登記に必要な書類の中には、住民票・印鑑証明書・評価証明書・登記原因証明情報など複雑なものが含まれており、一つでも記載や添付に不備があると、登記が受理されず、法務局から補正指示が来ることになります。

さらに、印紙税の納付や登録免許税の計算も必要ですし、相続が絡む場合には事前に「相続登記」を済ませておく必要もあります。手続きに慣れていない方にとっては、非常にハードルの高い業務となります。

司法書士は、こうした登記手続きを専門とする国家資格者であり、法務局とのやり取りもすべて代行可能です。安心して任せられる存在として、ぜひ活用を検討してください。

■ オーダーメイド対応の専門家に相談する価値

当事務所では、単なる手続き代行ではなく、お客様の状況やご希望に応じた「オーダーメイド型の個別対応」を重視しております。

相続税や贈与税の節税を考慮した取引設計

高齢の親御様の意向を尊重した売買スキーム

不動産の複数名義や権利関係が複雑な場合の整理

売買後のトラブル予防を見据えた契約書の作成

こうした「表に見えない課題」までを一緒に考えることで、本当に安心して進められる不動産取引が実現します。家族や大切な人との間で行う取引だからこそ、トラブルのない、穏やかで納得感のある進め方が求められます。

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