知人の不動産を購入する際の注意点|安心して進めるための法律・税務・手続きのすべて
ごとう司法書士事務所
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知人の不動産を購入する場合、安心感がある一方で、次の点をしっかり押さえることが重要です。
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1

「信頼関係」だけに頼るのは危険|個人間売買の落とし穴

知人同士の不動産取引では、「昔からの付き合いだから大丈夫」「細かいことを決めなくてもトラブルにはならないだろう」といった安心感から、契約内容を曖昧にしたまま話を進めてしまうケースが少なくありません。しかし、不動産は数百万円から数千万円という高額な資産であり、一度トラブルが生じると、人間関係だけでなく生活そのものにも大きな影響を及ぼす可能性があります。

特に個人間売買では、不動産会社が介在しないため、本来であれば行われるべき「重要事項説明」や「契約内容の精査」が十分に行われないまま進んでしまうことがあります。重要事項説明とは、物件の権利関係や法令上の制限、インフラの状況などを専門家が整理して説明するものですが、これが省略されることで、買主が十分な情報を得ないまま購入してしまうリスクが高まります。

例えば、名古屋市内でも実際にあった事例として、知人から中古住宅を購入した方が、入居後に雨漏りやシロアリ被害に気づいたというケースがあります。この取引では、「古い建物だから多少の不具合は仕方ない」という認識のもと、具体的な修繕履歴や不具合の有無について書面で取り決めがされていませんでした。その結果、どこまでが売主の責任なのかが不明確となり、最終的には関係性の悪化につながってしまいました。

このようなトラブルの多くは、以下のような点が不十分であることに起因しています。

売買契約書の内容が簡易すぎる、または作成していない

建物や設備の状態について具体的な取り決めがない

引渡し後の責任(契約不適合責任)について明確にしていない

口頭での合意に頼ってしまっている

また、「知人だから強く言えない」という心理も、問題を複雑にする要因となります。本来であれば確認すべき事項について遠慮してしまい、結果として後から不満や疑問が生じることも少なくありません。不動産取引においては、関係性の良し悪しにかかわらず、「確認すべきことはきちんと確認する」という姿勢が極めて重要です。

さらに注意すべきは、契約不適合責任(旧・瑕疵担保責任)の取り扱いです。これは、引き渡された不動産が契約内容と異なる場合に、売主が負う責任のことをいいます。個人間売買では、この責任を「免責」とすることも可能ですが、その場合でも内容を明確に定めておかなければ、後々の解釈を巡って争いになる可能性があります。

知人間の取引だからこそ、あえて形式を整え、書面でしっかりと取り決めを行うことが、結果的にはお互いの信頼関係を守ることにつながります。「信頼しているからこそ、きちんと形にする」という意識が、安心できる不動産取引の第一歩といえるでしょう。

Point
2

適正価格での売買が重要|税務リスクにも注意

知人間の不動産売買では、「できるだけ安く譲ってあげたい」「親しい関係だから相場よりも低い価格で良いだろう」といった配慮から、通常の市場価格とかけ離れた金額で取引が行われるケースが見受けられます。一見すると双方にとって納得感のある取引のように思えますが、この“好意による価格設定”が、思わぬ税務リスクを招く可能性がある点には十分な注意が必要です。

特に問題となるのが、「著しく低い価格」で売買された場合です。税務上、このような取引は単なる売買ではなく、「実質的には贈与があった」と判断されることがあります。つまり、本来の時価との差額部分について、買主に対して贈与税が課される可能性があるのです。

例えば、名古屋市内で市場価格が2,000万円程度と見込まれる不動産を、知人間で1,000万円で売買した場合、この差額1,000万円について贈与とみなされるリスクがあります。贈与税は累進課税であり、金額によっては数百万円単位の税負担が生じることもあり得ます。こうした課税の可否や判断基準は個別事情によって異なるため、最終的には税務署の判断による部分もありますが、「相場とかけ離れた価格設定は危険である」という認識は持っておくべきです。

また、売主側にも税務上の注意点があります。不動産を売却した場合には、原則として譲渡所得税が課されますが、売却価格が不自然に低い場合には、税務署から「時価で売却したもの」とみなされ、想定外の課税が行われる可能性も否定できません。つまり、売主・買主の双方にとって、適正価格での取引は非常に重要な意味を持つのです。

では、適正価格とはどのように判断すればよいのでしょうか。実務上は、以下のような複数の指標を参考に総合的に判断することが一般的です。

不動産会社による査定価格

近隣の取引事例(成約事例)

公示地価・基準地価

固定資産税評価額

これらを踏まえて、「第三者が見ても合理的といえる価格」であるかどうかが重要なポイントとなります。

さらに、現在の不動産市場の動向も無視できません。名古屋においては、中心部の利便性の高いエリアでは一定の需要が維持されている一方で、郊外や築年数の古い物件では価格の下落傾向が見られます。加えて、日本全体としては人口減少や高齢化が進行しており、今後は空き家の増加による供給過多も予想されています。このような背景から、「今の価格が将来的にも妥当かどうか」という視点も重要になってきます。

また、近年は建築資材の高騰やインフレの影響により、新築住宅の価格が上昇している一方で、一般の所得が追いついていないという状況も見られます。その結果、購入できる層とできない層の二極化が進み、不動産価格の形成にも影響を与えています。こうした社会的背景を踏まえずに価格を決めてしまうと、「思ったよりも資産価値がなかった」という結果にもなりかねません。

知人間であっても、不動産はあくまで「資産の売買」です。感情だけで価格を決めるのではなく、客観的な資料や専門家の意見を参考にしながら、合理的な価格設定を行うことが、後悔のない取引につながります。結果として、それが双方にとって公平で納得できる関係を維持することにもつながるのです。

Point
3

登記・契約・資金決済|専門家関与が安心につながる

知人間での不動産売買においては、「お互いに信頼しているから手続きも簡単でよいだろう」と考えてしまいがちですが、実際には通常の不動産取引と同様、あるいはそれ以上に慎重な手続きが求められます。なぜなら、不動産取引は法律行為であり、形式や手続きを軽視すると、後々取り返しのつかない問題につながる可能性があるためです。

まず基本となるのが「売買契約書の作成」です。個人間売買では、市販のひな形やインターネット上のテンプレートを使用するケースも見受けられますが、それだけでは十分とはいえません。不動産ごとに状況は異なり、

建物の状態

設備の有無や不具合

境界の明確性

引渡し時期や条件
など、個別に調整すべき事項が数多く存在します。これらを反映しないまま契約書を作成してしまうと、後から「言った・言わない」の争いになりやすく、結果としてトラブルの原因となります。

次に重要なのが「所有権移転登記」です。不動産の売買は、代金を支払っただけでは法的に完全とはいえず、登記を行うことで初めて第三者に対して権利を主張することができます。例えば、登記をしないまま放置してしまうと、万が一売主が別の人に二重に売却した場合や、差押えなどが入った場合に、買主の権利が守られない可能性があります。

また、登記の前提として、売主側に設定されている抵当権(住宅ローンの担保など)の有無も確認しなければなりません。抵当権が残ったままでは、買主が安心して所有できる状態とはいえないため、抹消手続きを含めた段取りが必要になります。これらの確認や手続きは専門的な知識を要するため、司法書士の関与が極めて重要となります。

さらに見落とされがちなのが「資金決済の安全性」です。知人間であることから、現金手渡しや簡易な振込で済ませてしまうケースもありますが、これは非常にリスクの高い方法です。例えば、「代金は支払ったが登記がされていない」「登記はされたが代金が未払い」といった事態が発生すると、双方にとって大きな不利益となります。

そのため実務では、

金融機関での同時決済

司法書士立会いのもとでの手続き
など、「代金支払い」と「登記申請」を同時に行う形が一般的です。このように進めることで、取引の安全性を大きく高めることができます。

加えて、固定資産税や管理費などの精算も重要なポイントです。不動産は年単位で課税・請求されるため、引渡し日を基準に日割り計算を行い、売主・買主間で公平に負担を分ける必要があります。こうした細かな調整も、専門家が関与することでスムーズに進めることができます。

名古屋においては、相続により取得した不動産を知人や親族に売却するケースが増加しており、それに伴い「手続きを簡略化してしまった結果のトラブル」も少なからず見受けられます。不動産取引は一見シンプルに見えても、実際には多くの法的要素が絡む複雑なものです。

だからこそ、知人間であっても形式を整え、専門家を交えて進めることが重要です。「信頼している相手だからこそ、きちんとした手続きを踏む」ことが、安心・安全な取引を実現し、将来的なトラブルを未然に防ぐ最善の方法といえるでしょう。

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