不動産を売買するというのは、多くの人にとって一生に何度もない大きな出来事です。通常は不動産会社を介して取引を行うのが一般的ですが、近年ではインターネットの普及や情報収集手段の多様化により、当事者同士で直接売買を行う「個人間売買」が注目されています。特に、家族や親族間、あるいは旧知の間柄でのやりとりでは、「信頼関係があるから」と不動産会社を通さずに売買を行うケースが増えてきました。
個人間で不動産の売買を行えば、不動産仲介会社に支払う手数料(売買価格の3%+6万円が目安)を節約できるほか、当事者間での話し合いで柔軟に条件を調整できるというメリットがあります。しかし一方で、契約書の不備、登記手続きの漏れ、税務上の問題など、専門的な知識を必要とする場面も多く、後々になって思わぬトラブルに発展してしまうケースも少なくありません。
それでも、しっかりと準備と確認を行い、専門家のサポートを得ながら取引を進めた方の中には、「結果的にスムーズで納得のいく売買ができた」「時間もお金も無駄にせず、理想的な形で売却や購入ができた」といった成功体験を得ている方もいます。つまり、個人間の不動産売買が「危ない」わけではなく、ポイントを押さえて正しく対応すれば、十分に安全で有意義な選択肢となり得るのです。
本記事では、実際に個人間売買でうまくいっている人たちが、どのような点に注意し、どんな工夫をしているのかを、司法書士兼宅地建物取引士の視点から解説します。取引における注意点や法的なポイント、登記の手続き、税金に関する基本的な考え方まで、安心して不動産売買を進めるために必要な情報を、できる限りわかりやすくお伝えしていきます。