個人間の不動産売買のコツ
~信頼関係だけに頼らない、法的トラブル回避術~
ごとう司法書士事務所
Check!
興味がある方はお気軽にご相談を
ポイントを解説!!
個人間でも土地や家の売買を安全に進めましょう。
Point
1

① 相場把握と価格交渉のポイント

不動産の個人間売買において、最も重要なのが「価格の設定」です。不動産は一つとして同じものがない資産であり、立地、築年数、面積、接道状況、周辺環境など、さまざまな要素が価格に影響を与えます。売主としてはできる限り高く売りたい、買主としてはできる限り安く買いたいというのが本音でしょう。しかし、両者が満足できる妥当な価格を導き出すためには、まず客観的な「相場」を正確に把握することが何よりも大切です。

相場の調査には、いくつかの有効な手段があります。たとえば、国土交通省が提供する「土地総合情報システム」では、実際の不動産取引価格の事例が地域ごとに公開されており、非常に参考になります。また、公益社団法人不動産流通推進センターの「レインズ・マーケット・インフォメーション」では、不動産業者が共有する成約データを一般の方でも閲覧できます。これらの情報を活用すれば、近隣地域で実際にいくらで売買が成立しているのか、具体的な価格帯を知ることができるのです。

価格設定においては、初めからギリギリの価格で交渉に入るのではなく、相場の上限あるいはやや高めに設定しておくのが一般的な戦略です。これは、交渉の過程で価格を調整できる「余地」を持たせるためです。ただし、あまりに相場から乖離した価格設定を行うと、買主の信用を損ねたり、交渉自体が破談になったりする可能性もあるため、注意が必要です。

また、相場よりも大幅に低い価格で売買した場合には、「贈与」とみなされてしまう可能性があることも知っておきましょう。たとえば、実勢価格が2,000万円の物件を、1,000万円で知人に売却した場合、その差額1,000万円が贈与と見なされ、贈与税の課税対象になることがあります。こうしたリスクを回避するためには、市場価格の証明として、不動産鑑定評価書を取得したり、評価証明書や近隣取引事例の提示などで、価格の妥当性を裏付ける工夫が必要です。

さらに、価格交渉では「誰が固定資産税を負担するのか」「引渡し日や瑕疵(欠陥)への責任はどうするのか」といった、価格以外の条件も交渉材料となります。表面的な金額だけでなく、これらの周辺条件も含めて全体として納得できるかどうかが、本当の意味での「価格交渉の成功」といえるでしょう。

専門家としての立場から申し上げると、こうした価格設定や交渉には、宅地建物取引士としての知見だけでなく、不動産の権利関係や税務にも通じた司法書士の視点が非常に役立ちます。相手が親族や知人であったとしても、後のトラブルを未然に防ぐためには、「信頼関係があるからこそ、法的に明確な取り決めをする」という姿勢が、むしろ重要なのです。

Point
2

② 契約書と書類の整備

個人間で不動産を売買する際には、「契約書の作成」と「必要書類の整備」が成功の鍵となります。これは不動産という高額で複雑な取引において、口約束や曖昧な取り決めではトラブルを招きやすいためです。たとえ家族や親しい知人との取引であっても、感情に頼ることなく、書面で明確に条件を残しておくことが大切です。

まず、契約書についてです。インターネット上には「不動産売買契約書の雛形」が多く出回っていますが、どれも画一的な内容であり、物件の状況や当事者の合意内容に完全に合致するとは限りません。特に2020年の民法改正以降は、「瑕疵担保責任」が「契約不適合責任」へと変わり、契約書に明記すべき内容がより複雑になりました。つまり、以前のように単に「欠陥があれば対応する」といった曖昧な文言では、法的に不十分なのです。売主が責任をどの範囲で負うのか、買主が不適合を発見した際にどのような手続きで通知するのか、補修や損害賠償の条件はどうするかなど、細部にわたって正確に定める必要があります。

さらに、売買対象となる不動産に関する情報――たとえば、越境(塀や建物が隣地に出ている)、違法建築、建物の未登記、境界の未確定など――がある場合は、それらを契約書にどう明示するかも重要です。こうした点をあいまいにしたまま契約すると、引き渡し後に買主から損害賠償を請求されるなど、思わぬトラブルにつながりかねません。

契約書とともに準備すべき「必要書類」も多岐にわたります。売主は、登記識別情報(昔でいう権利証)、印鑑証明書、固定資産評価証明書、身分証明書などを揃える必要があります。また、土地と建物の登記事項証明書(登記簿謄本)を確認し、名義人や面積、権利関係に誤りがないかチェックしておくことも欠かせません。場合によっては、過去の分筆図や境界確定図、建築確認済証、検査済証、さらに住宅ローンの抵当権が設定されていればその抹消手続きなども関係してきます。

これらの書類の整理や確認は、不慣れな一般の方にとっては非常に複雑かつ煩雑な作業です。とくに、「登記手続き」は専門知識を要する分野であり、法務局に提出する申請書類を正しく作成しなければ、そもそも不動産の名義変更が完了しません。誤った内容で登記を申請すれば、法務局から補正や却下となることもあり、取引自体に支障が出てしまいます。

そのため、契約書の作成や書類の整備においては、司法書士の関与が非常に有効です。司法書士は、不動産登記の専門家として、必要書類の確認や手配、法的リスクの洗い出し、そして登記申請まで一貫して対応することができます。また、宅地建物取引士としての視点も併せ持つことで、不動産実務全体を見据えたアドバイスが可能です。

契約の正確性、書類の整合性、そしてトラブルの未然防止。これらすべてを安心して進めるためには、信頼できる司法書士のサポートを受けながら、準備を万全に整えることが何よりのポイントと言えるでしょう。

Point
3

③ 信頼できる相手との取引・ローン審査への配慮

個人間での不動産売買は、信頼できる相手が前提となるからこそ成り立つ取引です。売主・買主双方の顔が見える関係であることにより、取引がスムーズに進みやすくなる反面、逆に「信頼していたからこそ確認を怠った」「曖昧な約束がトラブルの原因になった」といったケースも少なくありません。とくに親族間や長年の付き合いがある知人同士では、形式を省略してしまいがちですが、不動産取引は高額かつ法的な手続きが伴う契約であることを忘れてはなりません。

まず最初に大切なのは、「売主・買主の関係性や背景をよく理解すること」です。買主が物件の購入後にどのような利用を想定しているのか、資金計画はどうなっているのか、共有者がいるかどうか、などを事前に確認しておくと、後の誤解や対立を避けやすくなります。たとえば、購入後に取り壊して建替える予定であれば、建築制限や用途地域の確認も必要ですし、複数人での共有購入を予定している場合には、持分割合や管理方法についても取り決めておく必要があります。

また、買主が金融機関からの住宅ローンを利用する場合には、通常の不動産業者を通した売買に比べ、審査が厳しくなる傾向があります。なぜなら、多くの金融機関は「売主が宅建業者でない個人であること」に対して慎重であり、仲介業者なしの場合、取引の信頼性や物件調査の精度に不安を感じることがあるからです。そのため、買主が住宅ローンを利用したいと希望している場合には、早い段階で金融機関に相談し、「個人間売買でも融資が可能か」「必要な条件や書類は何か」を具体的に確認することが重要です。場合によっては、金融機関が求める条件を満たすために、売買契約書の内容や物件調査報告書の提出など、通常よりも丁寧な対応が求められることもあります。

加えて、売主側としても、「買主が本当に支払い能力があるのか」「ローン審査に通らなかった場合の取引はどうなるのか」といったリスクを想定しておくべきです。一般的には、ローン特約(融資が不成立の場合は契約を白紙解除する条項)を設けておくことで、双方のリスクを軽減することができます。こうした条項を契約書にきちんと反映させておくことが、トラブル回避には不可欠です。

さらに、信頼できる相手との取引であっても、「登記の名義変更は確実に行う」「代金の支払い方法やタイミングを明確にする」「領収証を交付する」といった、第三者にも証明できる形で手続きを進めることが大切です。とくに代金の支払いについては、現金手渡しではなく、必ず金融機関を通じた振込履歴が残る方法を選びましょう。また、同日に「登記」と「残代金決済」を行う「同時履行」の原則を守ることで、どちらか一方が履行しないというリスクを回避することができます。

取引後の関係性にも配慮し、後味の悪い思いをしないためにも、事前の話し合いや書面での明文化は非常に重要です。売主が高齢者の場合や、買主が初めて不動産を取得する方である場合などは、より丁寧な説明と確認作業が必要です。

なお、司法書士としての立場から付け加えると、こうした信頼関係に基づく個人間取引こそ、法律の専門家のサポートが活きる場面です。中立的な第三者としての立場から、法的・実務的な視点で取引の安全性を確保し、双方にとって安心できる手続きへと導くことができます。

信頼は大切ですが、信頼に甘えず、手続きは丁寧に、証拠は明確に。これが、個人間売買を成功させる上での大原則です。

お気軽にお電話でご連絡ください
052-228-0939 052-228-0939
9:00~19:00
Access

気兼ねなく足をお運びいただける相談スペースを名古屋にご用意しています

概要

事務所名 ごとう司法書士事務所
住所 愛知県名古屋市中区丸の内3-15-3
TCF丸の内ビル6F
電話番号 0120-290-939
営業時間 9:00~19:00
定休日 土曜日 日曜日 祝日
最寄り 久屋大通駅より徒歩6分
監修 不動産売買仲介についてはごとう不動産事務所監修

アクセス

相談者様にとって「いつでも気軽にサポートが受けられる身近な司法書士」となれるよう、地域に密着した細やかな対応を心掛けています。相続や登記、そしてその他の申請手続きでお困りなら、一度相談してみませんか。
Contact

お問い合わせ

RELATED

関連記事