祖父母名義のままの不動産はどうする?名古屋の数次相続と相続登記
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数次相続とは?なぜ相続人が「ねずみ算式」に増えるのか

数次相続とは、亡くなった方(被相続人)の遺産分けや登記が済まないうちに、その相続人も亡くなってしまい、相続が二重、三重に重なった状態のことです。そして数次相続の一番の問題は、時間が経つほど話し合いに参加すべき人が増え続けることにあります。

一代飛ばすだけで、相続人は何倍にもなります

たとえば、祖父が亡くなった時点での相続人が、祖母と子ども3人の合計4人だったとします。祖父名義の登記をしないまま年月が過ぎ、祖母が亡くなり、子ども3人のうち2人も亡くなったとしましょう。すると、亡くなった子どもの配偶者やその子ども(孫の世代)が、それぞれ相続人の立場を引き継ぎます。気がつけば、遺産分割協議(遺産の分け方を決める相続人全員の話し合い)に加わるべき人が10人、15人と膨らんでいる、ということが実際に起こります。

相続人の中に、一度も会ったことのない親族、遠方に住む方、連絡先のわからない方が含まれてくるのも、数次相続の特徴です。協議は全員の合意がなければ成立しませんから、一人でも連絡が取れない方がいると、手続き全体が止まってしまいます。

「代襲相続」との違いも知っておきましょう

似た言葉に「代襲相続(だいしゅうそうぞく)」があります。こちらは、被相続人が亡くなるより前に子どもが亡くなっていた場合に、孫が代わりに相続人になる仕組みです。亡くなった順番が違うだけに見えますが、誰が相続人になるか、相続分がいくらになるかの計算が変わってきます。戸籍を丁寧にたどらないと正確な相続人が確定できないのは、どちらも同じです。

名古屋では、昭和の時代に建てられた戸建てが多い中村区・南区・港区・中川区などで、「土地は祖父名義、建物は父名義」「畑の一部だけ曾祖父名義が残っていた」といったご相談が目立ちます。堅実で、家や土地を大切に守り継ぐ気風のある名古屋だからこそ、「いつか手続きしよう」と思ったまま世代を越えてしまったケースが少なくないのです。

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祖父母名義のまま放置するとどうなる?2027年3月31日の期限にご注意を

祖父母名義のままの不動産は、①法律上の登記義務に違反する状態になり得る、②売却も活用もできない、③次の世代の負担が確実に重くなる、という三つの問題を抱えることになります。

相続登記の義務化と過料 ― 過去の相続も対象です

2024年4月1日から、相続で不動産を取得したことを知った日から3年以内に相続登記を申請することが、法律上の義務になりました。重要なのは、この義務が2024年4月より前に発生した相続、つまり祖父母の代の古い相続にもさかのぼって適用されることです。過去分については経過措置があり、期限は2027年(令和9年)3月31日とされています。正当な理由なく期限を過ぎると、10万円以下の過料(行政上の金銭的な制裁)の対象になり得ます。

いきなり過料が科されるわけではなく、法務局からの催告などの手順を経る運用とされていますが、「知らなかった」では済まされない制度になったことは確かです。この記事を書いている2026年7月時点で、期限まで残り9か月足らず。数次相続の手続きには戸籍集めだけで数か月かかることも珍しくないため、逆算すると、そろそろ動き始めていただきたい時期です。

名義が古いままでは、売ることも貸すこともできません

不動産を売却するには、その前提として名義を現在の相続人に移す登記が必要です。2026年7月に公表された路線価(相続税の計算に使う土地の価格)では、愛知県は5年連続の上昇となりました。名古屋の不動産にはまだ底堅い需要がある一方で、今後は団塊世代の相続が本格化して空き家が増え、エリアによっては資産価値を保ちにくくなるという見方もあります。「売れる時期に売れる状態にしておく」ことが、名義の整理の大きな意味です。

また、誰も住まなくなった実家をそのままにすれば、固定資産税の負担、老朽化、管理の手間は次の世代へ引き継がれます。名義人がすでに何世代も前の方であれば、お子さんやお孫さんが手続きするころには、相続人はさらに増えています。「自分の代で名義をきれいにしておく」ことは、ご家族への何よりの思いやりだと私たちは考えています。

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数次相続の登記はどう進める?手順・費用・負担を軽くする制度

数次相続でも手順を踏めば必ず解決できます。基本の流れは、①戸籍をそろえて相続人を確定する、②相続人全員で遺産分割協議をする、③法務局へ相続登記を申請する、の三段階です。あわせて、費用や手間を軽くできる制度がいくつも用意されています。

第一関門は戸籍集め ― 広域交付制度で以前より楽になりました

数次相続では、祖父母の出生から死亡までの戸籍に加え、亡くなった相続人全員分の戸籍も必要になるため、通数が数十通に及ぶことがあります。2024年3月から始まった戸籍の広域交付制度により、本籍地が遠方でも最寄りの市区町村の窓口でまとめて戸籍を請求できるようになり、負担はかなり軽くなりました。ただし、コンピュータ化されていない古い戸籍は対象外であったり、請求できる範囲に制限があったりするため、古い相続では結局、各地への郵送請求が必要になる場面も残ります。このあたりは、戸籍の読み取りに慣れた司法書士にお任せいただくのが早道です。

登記は必ずしも「二回分」必要ではありません

「祖父から父へ、父から自分へ、二回分の登記費用がかかるのでは」とご心配される方が多いのですが、中間の相続人が一人に確定できる場合などには、祖父から現在の相続人へ直接登記できる取り扱いがあります。さらに税金面でも、相続した土地の登記をしないまま亡くなった方への登記にかかる登録免許税(登記の際の国税)を免税とする措置や、評価額100万円以下の土地についての免税措置が、いずれも2027年3月31日まで設けられています。数次相続はこの免税措置がまさに活きる場面で、使えるかどうかで費用が大きく変わります。

そろえる書類と「法定相続情報一覧図」の注意点

登記申請には、戸籍一式のほか、相続人全員の印鑑証明書付きの遺産分割協議書、不動産を取得する方の住民票、固定資産評価証明書(登録免許税の計算に使います)などが必要です。亡くなった方の住民票の除票や戸籍の附票は保存期間の関係で取得できないことがあり、その場合は別の書面で補う工夫をします。古い相続ほど、こうした「書類が取れない」場面への対応力が問われます。

戸籍の束の代わりに使える「法定相続情報一覧図」という便利な制度もありますが、数次相続では亡くなった方ごとに一覧図を分けて作る必要があるなど、独特のルールがあります。銀行の相続手続きにも使い回せる書類ですので、作り方も含めてご相談いただければ、二度手間なく進められます。

話し合いがすぐにまとまらないときの選択肢

相続人が多くて協議に時間がかかりそうな場合は、まず「相続人申告登記」という制度で、自分が相続人であることを法務局に申し出ておく方法があります。これだけで義務違反の状態はいったん回避でき、費用もかかりません。ただしこれはあくまで応急措置で、不動産を売却するには結局、遺産分割と相続登記が必要になる点にはご注意ください。ほかにも、関わりの薄い相続人に相続分を譲渡してもらって当事者を絞り込む方法や、相続人の中に認知症などで判断能力が十分でない方がいる場合の成年後見制度の利用、未成年の相続人がいる場合の特別代理人の選任など、家庭裁判所への手続きが必要になる場面もあります。こうした裁判所提出書類の作成も司法書士の業務ですので、窓口を分けずに進められます。どの道筋が最適かは、家族構成や不動産の内容によって一件ごとに異なりますので、まずは現状の確認からお手伝いさせていただければと思います。

想定事例:南区の実家が祖父名義のままだった50代女性のケース

たとえば、このようなケースを考えてみましょう。名古屋市南区にお住まいの50代の女性。お父様が亡くなり、実家を相続することになりましたが、法務局で登記を調べると、土地の名義は40年前に亡くなった祖父のままでした。戸籍をたどった結果、相続人はご本人を含めて11人。そのうち3人は会ったこともない、県外に住むいとこたちでした。

このようなケースでは、まず戸籍で相続人を正確に確定したうえで、面識のない相続人の方々へは、事情を丁寧に説明するお手紙から始めます。実務の感覚では、きちんと筋道を立ててご連絡すれば、多くの方は協力してくださいます。全員の合意が得られれば、遺産分割協議書を作成し、祖父名義から直接、この女性の名義へ登記を申請します。中間の登記にかかる登録免許税は免税措置の対象となり、費用も抑えられました。名義が整った後は、空き家となった実家の売却まで、宅地建物取引士としてそのままお手伝いできます。相続登記不動産売却を別々の窓口に頼む必要がないことは、ご高齢の方やお忙しい方にとって大きな安心につながっています。

よくある質問(FAQ)

Q1.祖父名義の不動産があることに最近気づきました。期限はいつまでですか?

A.2024年4月より前に発生した相続については、原則として2027年(令和9年)3月31日が相続登記の期限です(取得を知った日から3年以内のほうが遅い場合はその日まで)。数次相続は準備に時間がかかるため、早めの着手をおすすめします。

Q2.相続人の中に連絡の取れない人がいます。登記はできませんか?

A.遺産分割協議には相続人全員の参加が必要ですが、住所の調査、不在者財産管理人の選任申立てなど、状況に応じた解決方法があります。裁判所への申立てを含む手続きは司法書士がお手伝いできますので、あきらめずにご相談ください。

Q3.費用はどのくらいかかりますか?

A.戸籍の通数、相続人の人数、不動産の評価額によって変わります。数次相続では登録免許税の免税措置が使える場合が多く、当事務所では着手前に費用の見積りをご提示する明瞭会計を徹底しています。まずは概算だけでもお気軽にお尋ねください。

Q4.名義を直したあと、実家の売却も同じところに頼めますか?

A.はい。当事務所は司法書士事務所と不動産事務所を併設しており、相続登記から売却のお手伝い、売買の登記までを一つの窓口でお受けできます。ご希望やご事情に合わせて、売る・貸す・持ち続けるの判断からご一緒に考えるプライベートコンサルティングも行っています。

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