相続の時に一番気を遣う手続き、それは「遺産分割」ではないでしょうか。
公平中立に話を進めることは簡単なようで難しい。そんな時は専門家のアドバイスを参考にしてはいかがでしょうか。
ごとう司法書士事務所
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専門家である司法書士がポイントを解説します
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1. 遺産分割協議の基礎知識:全員の合意がカギ

相続が発生すると、被相続人(亡くなった方)の遺産は、相続人全員の共有状態になります。つまり、すべての財産について「誰が何を相続するのか」がはっきり決まるまでは、相続人全員が法定相続分に応じて共同で所有している状態になるのです。この状態のままでは、不動産の名義変更(相続登記)もできませんし、遺産の処分や売却も自由には行えません。

そこで必要になるのが「遺産分割協議」です。これは、相続人全員で遺産の分け方について話し合いを行い、合意に至るためのプロセスです。民法上、この協議は相続人全員が参加して、全員の合意が得られなければ成立しないルールとなっています。たとえ一人でも同意しない相続人がいれば、協議は無効になり、遺産分割を進めることができません。

この点は非常に重要です。たとえば、兄弟姉妹のうち一人が遠方に住んでいて連絡が取れない、あるいは音信不通の相続人がいる場合には、その人が参加しない限り協議自体が成立せず、相続登記の申請もできないという事態になります。また、相続人の中に認知症や意思能力に問題がある方が含まれている場合、その方に代わる成年後見人の選任手続きを家庭裁判所に申し立てる必要があり、時間も手間もかかります。

さらに、協議が整った場合でも、話し合いの内容は必ず書面で残しておく必要があります。これが「遺産分割協議書」です。この書類には、誰がどの財産を取得するかを明確に記載し、相続人全員が署名・押印(実印)を行い、それぞれの印鑑証明書を添付します。この協議書が、のちに相続登記や預貯金の解約、名義変更などの手続きにおいて極めて重要な役割を果たします。

なお、相続人全員の合意があれば、法定相続分と異なる分け方も可能です。たとえば「長男がすべての不動産を取得し、他の兄弟は預金を受け取る」「配偶者がすべてを相続する」といった内容でも問題ありません。ただし、後になって「やっぱり納得できない」と言われないよう、協議は冷静に、相手の立場にも配慮しながら進める必要があります。

最後に、遺産分割協議を円滑に進めるためには、感情的にならず、第三者である専門家(司法書士など)に相談しながら進めるのが有効です。特に不動産が関わる場合、法的な観点だけでなく、不動産の評価や登記実務も絡むため、法律と不動産の両面からアドバイスできる専門家の関与がトラブル回避の大きな力となります。

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2. 不動産の特性を理解した分割が重要

不動産が含まれる相続においては、単に「誰が相続するか」というだけでなく、「どのように分けるか」について慎重な検討が求められます。現金や預貯金のように簡単に等分できる財産とは異なり、不動産は分けにくく、かつ法的・実務的にも注意すべき点が多いのが特徴です。

まず、不動産は「物理的に分けることが難しい」という点が大きな問題です。たとえば、土地を3人の相続人で分けようとしても、実際にその土地を3等分することが現実的でないケースが多々あります。無理に筆を分けてしまえば、土地としての利用価値が低下し、売却や活用が困難になることもあります。また、建物については分割自体が不可能であり、誰か一人が相続するしかありません。

そのため、実務上よく用いられるのが「代償分割」という方法です。これは、たとえば不動産を長男が相続し、他の相続人にはその評価額に応じた金銭(代償金)を支払うという方法です。これにより、相続人間の公平感を保ちつつ、不動産の名義を明確に一人に帰属させることができます。もちろん、代償金を支払う資金力があるかどうかは重要な検討要素となります。

また、不動産の相続においてしばしば見落とされがちなのが「共有状態のリスク」です。不動産を複数の相続人で共有する形にすると、一見すると平等に分けたように見えますが、実際にはその後の利用・管理・処分に大きな制約が生じます。たとえば、売却するには共有者全員の同意が必要ですし、一人でも反対すれば売却できません。また、修繕費の負担割合や固定資産税の支払い義務などでも意見が分かれ、親族間の関係が悪化する原因になりかねません。

さらに、不動産には「流動性が低い」「市場価値に幅がある」といった特性もあります。たとえば、同じ1000万円相当と評価された不動産であっても、実際に売却してみると思ったより安くしか売れないことや、逆に地域の再開発などで急に価値が上がることもあります。こうした市場変動リスクも考慮した上で遺産分割を考える必要があります。

不動産の価値を把握するには、不動産鑑定士による正式な評価や、司法書士兼宅地建物取引士のような実務経験の豊富な専門家による意見を参考にすると良いでしょう。特に地方の不動産や、空き家・空き地など利用予定のない不動産の場合は、将来的な管理や税金の負担も見越した判断が必要です。

また、相続不動産を売却する場合には、相続登記を完了させて名義を相続人に移しておく必要があります。名義が故人のままでは売却もできませんし、買主との契約も結べません。売却を視野に入れている方は、まずは速やかな相続登記が前提となります。

以上のように、不動産はその特性上、単なる財産の一部というよりも、慎重かつ実務的な判断が求められる相続財産です。家族の中で揉めごとを起こさず、かつ将来的に不動産を活かせるような分割方法を選ぶためにも、経験豊富な司法書士のサポートを受けながら進めることをおすすめします。

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3. 相続登記の流れと必要書類

相続によって取得した不動産を自分の名義に変更するには、「相続登記」という法的手続きが必要です。この登記は、法務局に申請することで完了しますが、実際に必要な準備や書類が多く、初めて手続きを行う方にとっては非常に複雑に感じられるかもしれません。

2024年4月の法改正により、相続登記は義務化されました。これにより、不動産を相続した人は、相続開始(被相続人の死亡)を知った日から3年以内に登記申請を行わなければならなくなりました。正当な理由なく申請しなかった場合、10万円以下の過料が科される可能性があるため、これまでのように「時間があるときにやればいい」という姿勢では済まされない時代になっています。

では、実際に相続登記を行うにはどのような流れになるのでしょうか。一般的な流れは以下の通りです:

【相続登記の基本的な流れ】

戸籍の収集
 相続人の確定のために、被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍(除籍・改製原戸籍を含む)を取り寄せる必要があります。これによって、法定相続人が誰であるかを明確にします。

相続人全員の戸籍・住民票の取得
 法務局では、相続人が誰なのかを確認するために、現在の戸籍と住民票の写しの提出が求められます。

遺産分割協議書の作成
 不動産を誰が相続するのかを記載した協議書を作成し、相続人全員が署名・押印(実印)を行います。印鑑証明書も添付します。

固定資産評価証明書の取得
 登録免許税を計算するために、相続する不動産の評価額を確認する必要があります。市区町村役場で発行されます。

登記申請書の作成と提出
 上記の書類を基に、法務局に登記申請書を提出します。書式や記載内容に不備があると、補正や再提出が必要になるため、細心の注意が必要です。

登記完了通知の受け取り
 申請から1~3週間程度で登記が完了し、完了通知が届きます。これにより、正式に不動産の名義が変更されます。

これらの手続きには、書類の不備や誤記があると法務局から補正の指示が入ることがあり、そのたびに時間と労力がかかります。特に注意すべきは、戸籍の取り寄せに時間がかかる点と、遺産分割協議書の作成方法です。協議書の内容や形式に誤りがあると、受理されず再提出を求められることもあります。

また、相続人の中に未成年者が含まれている場合や、すでに亡くなっている相続人がいてその子どもが代襲相続するケースなど、特殊な状況ではさらに書類が複雑になります。そのため、専門的な知識が求められる場面も多く、専門家の助けを得て進めるのが安心です。

司法書士は、こうした登記手続きを代行する法務の専門家であり、書類の収集から申請書の作成、法務局とのやりとりまで一括で対応することができます。特に司法書士兼宅地建物取引士であれば、不動産の評価や活用方針に関する助言も含めて総合的なサポートが可能です。

相続登記は、単なる事務手続きではなく、ご家族の財産を法的に守り、次の世代へと正しく引き継ぐための重要なステップです。法改正により登記が義務化された今、先延ばしにせず、確実に手続きを進めることが何より大切です。

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