相続という出来事は、誰にとっても人生の中でそう何度も経験するものではありません。しかし、親や配偶者、兄弟姉妹といった大切なご家族を亡くされた後に直面するのが、相続手続きです。その中でも特に重要で、かつ難しさを感じやすいのが「遺産分割」と「相続登記」の手続きです。
例えば、実家の土地や建物といった不動産を誰が相続するのか、他の相続人との話し合いがまとまらない、亡くなった方の名義のまま何年も放置されてしまっている、というようなお悩みをお持ちの方は少なくありません。また、遺産分割がきちんと行われていなければ、名義変更である相続登記も進めることができません。さらに2024年からは相続登記が義務化され、放置していると過料の対象になる可能性があるため、もはや「時間があるときにゆっくり…」とは言っていられない時代になっています。
こうした背景からも、相続が発生した際には、できるだけ早い段階で手続きの流れを理解し、ご家族の中での方針を確認しておくことがとても大切です。とはいえ、相続や登記の手続きは専門用語も多く、一般の方にとってはとてもわかりにくいもの。インターネットには情報があふれていますが、自分のケースに本当に当てはまるのか、自信が持てない方も多いことでしょう。
そこで今回は、司法書士として長年相続や不動産の問題に関わってきた立場から、「成功する相続登記」に必要不可欠な「遺産分割」のポイントについて、実務経験に基づいてわかりやすく解説していきます。不動産に強い司法書士として、実際の相談現場でよく受けるご質問や、相続人の皆様がつまずきやすい点についても触れながら、お役に立てるよう丁寧にお話ししてまいります。
この記事をお読みいただくことで、相続登記を「面倒な手続き」としてではなく、「家族の大切な財産を次世代へときちんと引き継ぐための第一歩」として前向きに捉えていただけるようになれば幸いです。どなたでも安心して一歩を踏み出していただけるよう、やさしく、具体的にご説明してまいりますので、ぜひ最後までお付き合いください。