近年、AIの急速な進化によって、相続登記に関する情報をインターネット上で簡単に調べられる時代になりました。
以前であれば、専門家に相談しなければ分からなかったような内容も、現在ではAIに質問するだけで、必要書類や手続きの流れ、相続登記義務化の概要まで瞬時に確認できます。
実際に、「相続登記は自分でできる」「AIを使えば専門家に相談しなくても進められる」といった情報も増えており、便利になったこと自体は間違いありません。
しかし、名古屋で実際に相続不動産のご相談を受けていると、現実の相続は、インターネット上の一般論だけでは解決できないケースが非常に多いと感じます。
たとえば、
「相続登記だけ済ませれば安心だと思っていた」
「実家を共有名義にした結果、将来売却できなくなりそう」
「空き家を相続したが、維持費だけがかかっている」
「名古屋の不動産価格は今後どうなるのか分からない」
「兄弟で意見が合わず、遺産分割がまとまらない」
といったご相談は、実際によくあります。
特に最近は、相続登記の義務化により、「まずは名義変更をしなければ」と考える方が増えています。
もちろん、相続登記を放置しないことは非常に重要です。
しかし、本当に大切なのは、“登記を終わらせること”そのものではなく、その不動産を今後どうしていくのかまで含めて考えることです。
現在の日本では、
人口減少による不動産需要の変化
高齢化による空き家増加
建築費高騰による住宅価格上昇
若年層の住宅購入力低下
地域ごとの資産価値の二極化
など、不動産を取り巻く環境が大きく変わっています。
特に名古屋でも、都心部と郊外では不動産価値の動きに差が出始めており、「今は売れる不動産」でも、将来的に同じ価値を維持できるとは限らない時代になっています。
だからこそ、これからの相続では、単に書類を作成するだけの“作業型の相続登記”ではなく、
将来売却しやすい形にするべきか
誰が取得するのが最適か
空き家リスクをどう回避するか
家族間トラブルを防ぐにはどうするか
税務や資産管理までどう考えるか
といった視点を含めた「提案型の相続登記」が重要になっています。
AIは、一般的な知識や制度説明には非常に優れています。
しかし、家族関係、不動産市場、地域性、感情面、将来の生活設計まで踏み込んだ判断は、まだ簡単ではありません。
今回は、司法書士兼宅地建物取引士の立場から、AI時代だからこそ求められる「提案型の相続登記」について、名古屋の不動産事情や実際の相談事例も踏まえながら、わかりやすく解説します。