【「不動産のプロ」が相手のときこそ、こちらにも専門家を】
ご相談の中で最も多いのが、「相手は不動産業者だから契約のことはよく知っている。だからこちらは特に何もしなくていいだろう」というお考えです。しかし、実はこれが最も注意すべきパターンです。
宅地建物取引業法は、宅建業者が一般の方と取引する際に「重要事項説明」を義務づけていますが、これはあくまで業者として売買の媒介・代理を行う場合の規定です。個人間の直接売買では、たとえ相手が宅建業者であっても、買主側の立場で動いている限り、売主に対する重要事項説明義務が法的に課されないケースがあります(具体的な適用関係は契約形態によって異なりますので、必ず個別にご確認ください)。
つまり、相手が「不動産売買に慣れている」ことは、こちら側のリスクが下がることを意味しないのです。むしろ、相手は契約条項の落とし所、登記の段取り、税務の抜け道まで熟知しているため、知らず知らずのうちに買主有利の条件で進められてしまう危険があります。
名古屋市内で当事務所が関わった事例では、瑞穂区の戸建てを売主様(70代女性)が長年お付き合いのある建設会社社長(買主)に売却される際、当初は「先方が全部書類を整えてくれるから大丈夫」とおっしゃっていました。しかし念のため当事務所で契約書案を拝見したところ、契約不適合責任の免責範囲が極端に広く、引渡し後に発覚した雨漏りや配管不具合の修繕費用が、すべて売主様の負担になる条項が含まれていました。最終的に、買主側と冷静に協議し、責任範囲を実態に即した内容に修正したうえで成約となり、その後のトラブルもなく終えることができました。
【中立的な第三者を一人入れるだけで、関係性は守られる】
「専門家を入れると、相手を疑っているようで気が引ける」――こうしたお気持ちは、当然のことだと思います。しかし考え方を少し変えていただきたいのです。
司法書士は、売主・買主のどちらかの「味方」になる立場ではなく、登記の真正と取引の安全を確保する「中立的な専門家」として関与いたします。ですから、第三者として司法書士が間に入ることは、相手を疑うことではなく、むしろ「お互いが後でもめないために、客観的な記録と手続きを残しておく」という意味を持ちます。
実際に、知人間売買で司法書士が関与した取引のほうが、その後も関係が良好に続いているケースが圧倒的に多いのです。なぜなら、書面と手続きで明確化された取引は、後から「言った言わない」「聞いていない」が発生せず、双方が安心して次のお付き合いに進めるからです。
名古屋という地域だからこそ大切にしたい「丁寧な手続き」
名古屋は、堅実なご家庭が多く、不動産も「代々受け継いだもの」「ご主人と二人で築いてきたもの」という思い入れの強い財産であることがほとんどです。とくに女性のお客様や中高年のお客様、また日本の不動産制度に不慣れな外国籍のお客様にとっては、ご自身の権利を守るための「ひと手間」をかけることが、結果的にご家族の安心につながります。
当事務所では、ひとつひとつのご事情を丁寧に伺い、お客様ごとにオーダーメイドで最適な進め方をご提案しております。お気軽にご相談いただける窓口でありたい、というのが私どもの変わらぬ思いです。