知人との不動産売買は本当に安心?AI任せの落とし穴と情報格差リスクを名古屋の司法書士が解説
ごとう司法書士事務所
Check!
興味がある方はお気軽にご相談を
司法書士兼宅地建物取引士として申し上げたいのは、専門家を入れることは、決して相手を疑うことではない、ということです。
Point
1

1.「知っている人だから安心」が招くトラブル ― 名古屋でも増える"身内売買"の落とし穴

信頼関係こそが交渉力を奪う、という逆説

名古屋市は政令指定都市の中でも比較的人口が安定している地域ですが、総務省統計局の人口動態を踏まえると、中区・東区・千種区といった都心部はマンション需要が根強く価格が緩やかに上昇する一方、北区・港区・南区の一部や周辺市の戸建てエリアでは空き家率が上昇傾向にあると報告されています(最新の細かい数値は自治体公表資料をご確認ください)。つまり、同じ「名古屋圏」と言っても、立地によって価格は二極化しているのです。

このような市況の中で、「親戚の不動産業者の知人に売る」「昔から付き合いのある建築会社の社長に買ってもらう」といった、いわゆる"身内売買"のご相談が増えています。お客様としては、「相場をよく知っている人だから、変な値段はつけないだろう」「契約書も向こうが用意してくれるから安心」とお考えになります。

ところが、当事務所で扱った事例の中には、以下のようなケースが少なからずございました(事案の特定を避けるため、複数事例を組み合わせ細部を修正しております)。

名古屋市守山区の戸建てを、長年付き合いのある不動産業の知人に売却。相場より約400万円安い価格で売買契約を結ばれた後、半年後にその知人がほぼ同価格帯のリフォーム費だけを上乗せして転売していたことが判明。

名東区の区分マンションを、買主側の知人主導で「契約書なし、覚書のみ」で取引。後日、引渡し済みの設備不具合について売主が責任を問われ、口頭の言質を巡って関係が完全に決裂。

中川区の実家を、亡くなったご主人の知人に「相続が大変だろうから」と善意で安く譲渡。後に贈与税の申告漏れを税務署から指摘され、想定外の納税が発生。

いずれも、「相手を信じていたから契約条件を細かく詰めなかった」ことが共通の原因です。信頼関係は本来、財産を守るうえで強力な味方になるはずですが、こと不動産売買においては「言わなくてもわかってくれるはず」という期待が、買主側の交渉力を一方的に強めてしまう逆説が働きます。

名古屋エリア特有の事情も影響します

名古屋圏は、地縁・血縁・職縁のつながりが比較的色濃い地域です。商店街、町内会、同窓会、地元の業界団体――こうした関係の中で「あの人なら大丈夫」という評価が広がりやすい反面、いざトラブルになった際に「角を立てたくない」という心理が強く働き、泣き寝入りされる方も少なくありません。特に女性のお客様や高齢のお客様からは、「相手を悪く言うようで言い出せなかった」というお声をよく頂戴します。

Point
2

2.AI査定・AI契約書テンプレートに潜む危険 ― 専門家が見抜く「条文の行間」

【AIは「平均的な答え」しか出せない、という限界】

近年、無料のAI査定サービスや、生成AIによる契約書ひな型の作成が広く利用されるようになりました。当事務所にも、「ChatGPTで作った売買契約書を確認してほしい」「AI査定額で売ろうと思うが大丈夫か」というご相談が、月に何件もいただくようになっています。

結論から申し上げますと、AIは便利な「下調べの道具」としては十分に役立ちますが、最終的な判断を委ねるべきものではありません。理由は大きく三つあります。

第一に、AIは過去の膨大なデータから「平均的な答え」を導き出す仕組みです。ところが、不動産はひとつとして同じものがありません。同じマンションの同じ間取りでも、階数、向き、共用部の管理状態、過去の修繕履歴、隣接住戸の使用状況によって価値は大きく変わります。名古屋市内でも、地下鉄駅から徒歩7分と8分では人気が明らかに違いますし、学区によって坪単価が数十万円単位で動くこともあります。AIはこうした「現地でしかわからない情報」を反映できません。

第二に、AIが生成する契約書は、一見もっともらしく整っているのですが、「日本の最新の宅地建物取引業法、民法(債権法改正後の契約不適合責任)、税法、登記実務」を完全に正確に反映しているとは限らないという問題があります。執筆時点で確認できる範囲では、AIが生成した契約書に旧法用語(「瑕疵担保責任」など)が残っている例が散見されますし、契約不適合責任の通知期間や、所有権移転時期、危険負担、特約の優先順位など、実務上極めて重要な条文が抜け落ちているケースも多いのが実情です(具体的な法令の適用は事案により異なりますので、必ず専門家にご確認ください)。

第三に、AIは「行間」を読めません。契約書というのは、書かれていることだけでなく、「書かれていないこと」が後で大きな意味を持つ書面です。たとえば、越境物の処理、私道の通行掘削承諾、地中埋設物の扱い、引渡し前後の費用按分など、ひな型には載らない条項が、実際の取引では命綱になります。

【司法書士が必ず確認する「3つの行間」】

司法書士兼宅地建物取引士として、当事務所では知人間売買のご相談を受けた際、必ず次の3点を丁寧に確認させていただいています。

一つ目は、登記簿(登記事項証明書)の細部です。所有権だけでなく、抵当権、根抵当権、仮登記、差押え、地役権の有無を確認し、抹消や調整の手順を組み立てます。AI査定は登記の細部までは見ません。

二つ目は、当事者の真意と意思能力です。特に高齢の売主様の場合、ご本人が売買の内容を十分にご理解されているか、ご家族間で認識のずれがないかを、面談の場で確認させていただきます。これは後日の紛争予防に直結する、専門家の最も大切な役割のひとつです。

三つ目は、税務上の「みなし贈与」リスクです。相場より著しく低い価格での売買は、税務署から差額部分を贈与とみなされ、買主に贈与税が課される可能性があります。執筆時点での国税庁の取扱いを前提とすると、相続税評価額や近隣の取引事例と比較して合理的に説明できる価格設定が望ましいとされていますが、具体的な税額算定は税理士の領分となりますので、当事務所では信頼できる税理士と連携してご案内いたします。

Point
3

売買経験豊富な相手との「情報格差」を埋める方法 ― 司法書士が果たす中立的役割

【「不動産のプロ」が相手のときこそ、こちらにも専門家を】

ご相談の中で最も多いのが、「相手は不動産業者だから契約のことはよく知っている。だからこちらは特に何もしなくていいだろう」というお考えです。しかし、実はこれが最も注意すべきパターンです。

宅地建物取引業法は、宅建業者が一般の方と取引する際に「重要事項説明」を義務づけていますが、これはあくまで業者として売買の媒介・代理を行う場合の規定です。個人間の直接売買では、たとえ相手が宅建業者であっても、買主側の立場で動いている限り、売主に対する重要事項説明義務が法的に課されないケースがあります(具体的な適用関係は契約形態によって異なりますので、必ず個別にご確認ください)。

つまり、相手が「不動産売買に慣れている」ことは、こちら側のリスクが下がることを意味しないのです。むしろ、相手は契約条項の落とし所、登記の段取り、税務の抜け道まで熟知しているため、知らず知らずのうちに買主有利の条件で進められてしまう危険があります。

名古屋市内で当事務所が関わった事例では、瑞穂区の戸建てを売主様(70代女性)が長年お付き合いのある建設会社社長(買主)に売却される際、当初は「先方が全部書類を整えてくれるから大丈夫」とおっしゃっていました。しかし念のため当事務所で契約書案を拝見したところ、契約不適合責任の免責範囲が極端に広く、引渡し後に発覚した雨漏りや配管不具合の修繕費用が、すべて売主様の負担になる条項が含まれていました。最終的に、買主側と冷静に協議し、責任範囲を実態に即した内容に修正したうえで成約となり、その後のトラブルもなく終えることができました。

【中立的な第三者を一人入れるだけで、関係性は守られる】

「専門家を入れると、相手を疑っているようで気が引ける」――こうしたお気持ちは、当然のことだと思います。しかし考え方を少し変えていただきたいのです。

司法書士は、売主・買主のどちらかの「味方」になる立場ではなく、登記の真正と取引の安全を確保する「中立的な専門家」として関与いたします。ですから、第三者として司法書士が間に入ることは、相手を疑うことではなく、むしろ「お互いが後でもめないために、客観的な記録と手続きを残しておく」という意味を持ちます。

実際に、知人間売買で司法書士が関与した取引のほうが、その後も関係が良好に続いているケースが圧倒的に多いのです。なぜなら、書面と手続きで明確化された取引は、後から「言った言わない」「聞いていない」が発生せず、双方が安心して次のお付き合いに進めるからです。

名古屋という地域だからこそ大切にしたい「丁寧な手続き

名古屋は、堅実なご家庭が多く、不動産も「代々受け継いだもの」「ご主人と二人で築いてきたもの」という思い入れの強い財産であることがほとんどです。とくに女性のお客様や中高年のお客様、また日本の不動産制度に不慣れな外国籍のお客様にとっては、ご自身の権利を守るための「ひと手間」をかけることが、結果的にご家族の安心につながります。

当事務所では、ひとつひとつのご事情を丁寧に伺い、お客様ごとにオーダーメイドで最適な進め方をご提案しております。お気軽にご相談いただける窓口でありたい、というのが私どもの変わらぬ思いです。

お気軽にお電話でご連絡ください
052-228-0939 052-228-0939
9:00~19:00
Access

気兼ねなく足をお運びいただける相談スペースを名古屋にご用意しています

概要

事務所名 ごとう司法書士事務所
住所 愛知県名古屋市中区丸の内3-15-3
TCF丸の内ビル6F
電話番号 0120-290-939
営業時間 9:00~19:00
定休日 土曜日 日曜日 祝日
最寄り 久屋大通駅より徒歩6分
監修 不動産売買仲介についてはごとう不動産事務所監修

アクセス

相談者様にとって「いつでも気軽にサポートが受けられる身近な司法書士」となれるよう、地域に密着した細やかな対応を心掛けています。相続や登記、そしてその他の申請手続きでお困りなら、一度相談してみませんか。
Contact

お問い合わせ

RELATED

関連記事