名古屋の実家が空き家になったら|相続登記から売却までの進め方
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相続した実家を空き家のまま放置するとどうなる?
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固定資産税が大幅に増えるおそれ(管理不全空家)

空き家の放置には「税金が増える」「法律上の義務に違反する」「資産価値が下がる」という三つのリスクがあります。順番にご説明します。

固定資産税が大幅に増えるおそれ(管理不全空家)

住宅が建っている土地には「住宅用地の特例」があり、200平方メートル以下の部分は固定資産税の課税標準が6分の1に軽減されています。実家の固定資産税が思ったより安いのは、この特例のおかげです。

ところが、2023年12月に施行された改正空家法(空家等対策の推進に関する特別措置法)により、「管理不全空家」という区分が新しくできました。窓が割れたまま、庭木が道路にはみ出したままなど、管理が行き届かず放置すれば特定空家になるおそれのある空き家は、市から指導・勧告を受けることがあります。そして勧告を受けると、住宅用地の特例が解除され、土地の固定資産税の負担が大きく増えてしまうのです(実際には、おおむね3〜4倍程度に増えるケースが多いといわれます)。

「家を壊すと固定資産税が6倍になるから、空き家でも建てたままがいい」——名古屋でも昔からよく聞く話ですが、今は「壊さず放置していても増税されうる」時代に変わったこと、これがまず大切なポイントです。

相続登記をしないと10万円以下の過料の対象に

2024年4月1日から、相続登記(亡くなった方から相続人への名義変更の登記)の申請が義務になりました。不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に登記を申請しないと、正当な理由がない限り10万円以下の過料の対象になります。

注意していただきたいのは、2024年4月より前に発生した相続、つまり「ずっと前に亡くなったお父さま名義のままの実家」も対象になることです。この場合の期限は2027年3月31日で、この記事を書いている2026年7月時点で、残りは9か月を切りました。名義が祖父母の代のままという場合は、相続人の数が増えて手続きがさらに複雑になる前に、早めに着手されることをおすすめします。

建物は使わないと傷み、資産価値が下がっていく

家は不思議なもので、人が住まなくなると傷みが一気に進みます。換気がされないことで湿気がこもり、カビや腐食、シロアリの被害が広がりやすくなるためです。庭の草木や不法投棄、防犯上の不安など、ご近所への影響も無視できません。

そして建物の傷みは、そのまま売却価格に響きます。「もう少し落ち着いてから考えよう」と数年置いておくことが、結果として数百万円の差になることも珍しくありません。空き家は「保有しているだけでコストとリスクが積み上がる資産」であることを、まず知っておいていただきたいのです。

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名古屋の空き家はなぜ増える?売却を急いだほうがよい理由

名古屋の相続不動産は「動くなら早いほうが有利」な局面にあると私は考えています。理由は、これからの需要と供給のバランスにあります。

名古屋市の空き家は17万3,000戸、これからさらに増える見通し

先ほどふれたとおり、名古屋市の空き家は17万3,000戸(空き家率13.2%)で、全国の空き家900万戸とともに過去最多を更新しました。今後は団塊の世代の相続が本格化しますから、実家が空き家として市場に出てくる数は、名古屋でも一段と増えていくと見られています。

一方で、買い手となる若い世代の人口は減っていきます。供給が増えて需要が減るのですから、長い目で見れば、住宅が「選ばれるエリア」と「選ばれないエリア」の差はますます開いていくでしょう。

名古屋は「エリア差」がはっきり出るまち

名古屋の不動産は、地下鉄沿線や千種区・名東区・緑区などの人気の住宅地では実需(実際に住みたい方)の引き合いが根強くある一方、駅から遠い郊外の住宅団地などでは、買い手を見つけるのに時間がかかるケースが増えています。

また、不動産価格には「投資用」と「実需用」の二つの相場があります。都心部のマンションなどは国内外の投資マネーで価格が高止まりしていますが、郊外の戸建てはあくまで実需、つまり地元で暮らす方の買える価格でしか売れません。世界的なインフレと建築資材の高騰で新築が手の届きにくい価格になった結果、状態のよい中古住宅には追い風が吹いていますが、それも「立地と状態が良ければ」の話です。

つまり、同じ「名古屋の実家」でも、場所と建物の状態によって取るべき戦略がまったく違うのです。ここが、堅実で住まいを大切にする名古屋の方にこそ、じっくり検討していただきたいところです。

「3年」を意識すると、税金の特例を活かせる

売却を考える場合、税金の面でも時期が大切です。相続した空き家を売ったとき、一定の要件を満たせば譲渡所得から最高3,000万円を控除できる「空き家特例」という制度があります(相続人が3人以上の場合は最高2,000万円)。

主な要件は、昭和56年5月31日以前に建てられた戸建てであること、相続開始の直前に亡くなった方がひとりで住んでいたこと、売却代金が1億円以下であること、そして相続開始から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却することなどです。2024年からは、売却後に買主さまが翌年2月15日までに耐震改修や取壊しを行う場合も対象になり、以前より使いやすくなりました。

この特例の適用期限は2027年12月31日までとされています。税制は延長や見直しの可能性もありますが、現時点の制度を前提にすると、「相続から3年」と「2027年末」という二つの期限を意識して動くことが、手取り額に大きく影響します。なお、税額の具体的な計算は個々の事情で変わりますので、最新の情報とあわせて専門家にご確認ください。

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名古屋での実家じまいの進め方|相続登記から売却まで

実家じまいは「①相続登記 → ②家の中と建物の整理 → ③売り方の選択」の順に進めるとスムーズです。

まずは相続登記。名義を変えなければ売れません

意外に思われるかもしれませんが、亡くなった方の名義のままでは、不動産を売ることはできません。売買の前提として、必ず相続登記が必要です。

相続登記には、戸籍謄本などによる相続人の確定、遺産分割協議(相続人全員での話し合い)、法務局への登記申請という段階があります。相続人のどなたかが遠方にお住まいだったり、認知症を患っていらしたりすると時間がかかることもあるため、売却を考え始めた時点で着手しておくと、その後の流れが格段に楽になります。

家の中の整理は「お盆」など、家族が集まる機会に少しずつ

登記と並行して進めたいのが、家財の整理です。実家には数十年分の思い出の品が詰まっていますから、一度に片づけようとすると心も体も疲れてしまいます。ちょうどこれからの季節、お盆の帰省などでごきょうだいが集まる機会は、写真や形見の品を「誰が引き取るか」を話し合う良いタイミングです。残す物・処分する物・迷う物の三つに分けて、迷う物は無理に決めない。この進め方だけでも、ずいぶん気持ちが楽になります。

あわせて、電気・水道の契約、火災保険の空き家向けプランへの切り替え、郵便物の転送手続きなども早めに済ませておくと安心です。火災保険は「住宅」から「空き家」に用途が変わると補償の扱いが変わることがあるため、そのままにしないことが大切です。

「そのまま売る」「更地にして売る」どちらが得かは家それぞれ

古い実家の売り方には、大きく分けて「古家付きのまま売る」「解体して更地で売る」の二つがあります。近年は解体費用も人件費や資材の高騰で上がっており、木造戸建てでも200万円前後かかるケースが増えていますから、安易に「とりあえず壊す」のはおすすめしません。先ほどの空き家特例のように、買主さまが取壊しを行っても税の特例が使える場合もあり、壊さず売るほうが有利なことも多いのです。

たとえば、こんなケースを考えてみましょう。名東区の実家を相続した60代の姉妹が、「古い家だから売れないだろう」と解体を検討していたとします。ところが立地は小学校に近い人気の住宅地。査定してみると、リノベーションを前提に古家付きのまま買いたいという実需の買主さまが見つかり、解体費をかけずに、空き家特例も使って売却できた——。実際の現場では、このように「思い込みと逆の答え」になることがよくあります。逆に、建物の傷みが激しい場合や、港区の工場地帯に近いエリアなどでは、更地にして隣地の方にお声がけするほうが早いこともあります。

大切なのは、登記・法律・税金・売買相場の四つを同じテーブルに載せて判断することです。

司法書士兼宅地建物取引士に相談する意味

実家じまいは、相続登記は司法書士、売却は不動産会社、と窓口が分かれてしまいがちです。そのたびに事情を一から説明するのは、想像以上に疲れるものです。

当事務所は、司法書士と宅地建物取引士の両方の資格で、相続登記から売却のご提案・お引渡しまでを一つの窓口でお手伝いしています。おひとりおひとりのご事情に合わせたオーダーメイドの進め方をご提案し、費用も事前に明示する明瞭会計を徹底していますので、「何にいくらかかるのか分からない」という不安なく進めていただけます。売る・貸す・持ち続けるのどれが正解かというところから、プライベートコンサルティングとしてじっくりご一緒に考えることもできます。

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