実家じまいは「①相続登記 → ②家の中と建物の整理 → ③売り方の選択」の順に進めるとスムーズです。
まずは相続登記。名義を変えなければ売れません
意外に思われるかもしれませんが、亡くなった方の名義のままでは、不動産を売ることはできません。売買の前提として、必ず相続登記が必要です。
相続登記には、戸籍謄本などによる相続人の確定、遺産分割協議(相続人全員での話し合い)、法務局への登記申請という段階があります。相続人のどなたかが遠方にお住まいだったり、認知症を患っていらしたりすると時間がかかることもあるため、売却を考え始めた時点で着手しておくと、その後の流れが格段に楽になります。
家の中の整理は「お盆」など、家族が集まる機会に少しずつ
登記と並行して進めたいのが、家財の整理です。実家には数十年分の思い出の品が詰まっていますから、一度に片づけようとすると心も体も疲れてしまいます。ちょうどこれからの季節、お盆の帰省などでごきょうだいが集まる機会は、写真や形見の品を「誰が引き取るか」を話し合う良いタイミングです。残す物・処分する物・迷う物の三つに分けて、迷う物は無理に決めない。この進め方だけでも、ずいぶん気持ちが楽になります。
あわせて、電気・水道の契約、火災保険の空き家向けプランへの切り替え、郵便物の転送手続きなども早めに済ませておくと安心です。火災保険は「住宅」から「空き家」に用途が変わると補償の扱いが変わることがあるため、そのままにしないことが大切です。
「そのまま売る」「更地にして売る」どちらが得かは家それぞれ
古い実家の売り方には、大きく分けて「古家付きのまま売る」「解体して更地で売る」の二つがあります。近年は解体費用も人件費や資材の高騰で上がっており、木造戸建てでも200万円前後かかるケースが増えていますから、安易に「とりあえず壊す」のはおすすめしません。先ほどの空き家特例のように、買主さまが取壊しを行っても税の特例が使える場合もあり、壊さず売るほうが有利なことも多いのです。
たとえば、こんなケースを考えてみましょう。名東区の実家を相続した60代の姉妹が、「古い家だから売れないだろう」と解体を検討していたとします。ところが立地は小学校に近い人気の住宅地。査定してみると、リノベーションを前提に古家付きのまま買いたいという実需の買主さまが見つかり、解体費をかけずに、空き家特例も使って売却できた——。実際の現場では、このように「思い込みと逆の答え」になることがよくあります。逆に、建物の傷みが激しい場合や、港区の工場地帯に近いエリアなどでは、更地にして隣地の方にお声がけするほうが早いこともあります。
大切なのは、登記・法律・税金・売買相場の四つを同じテーブルに載せて判断することです。
司法書士兼宅地建物取引士に相談する意味
実家じまいは、相続登記は司法書士、売却は不動産会社、と窓口が分かれてしまいがちです。そのたびに事情を一から説明するのは、想像以上に疲れるものです。
当事務所は、司法書士と宅地建物取引士の両方の資格で、相続登記から売却のご提案・お引渡しまでを一つの窓口でお手伝いしています。おひとりおひとりのご事情に合わせたオーダーメイドの進め方をご提案し、費用も事前に明示する明瞭会計を徹底していますので、「何にいくらかかるのか分からない」という不安なく進めていただけます。売る・貸す・持ち続けるのどれが正解かというところから、プライベートコンサルティングとしてじっくりご一緒に考えることもできます。