相続のご相談で、名古屋市にお住まいの方から特に多いのが「実家をどうするべきか分からない」というお悩みです。
思い出の詰まった家だから簡単には決められない、一方で空き家のままでは不安もある——こうしたお気持ちは、ごく自然なものだと思います。
相続登記や不動産売却は、制度や数字だけで判断できるものではありません。本記事では、名古屋の不動産事情を踏まえつつ、司法書士兼宅地建物取引士の立場から、実家相続で考えておきたい視点をやさしく整理してみます。
相続登記というと、「亡くなった方から相続人へ名義を変える手続き」と思われがちです。もちろん、それは間違いではありません。
しかし実務の現場では、登記の前段階で多くの確認事項があります。
例えば、
・名古屋市内に複数の不動産がある
・土地と建物の名義が異なっている
・過去の相続が未登記のまま残っている
こうしたケースは決して珍しくありません。
実際にご相談いただいた方の中には、「父名義だと思っていた実家が、実は祖父名義のままだった」という方もいらっしゃいました。この場合、相続関係の整理からやり直す必要があり、時間も労力も大きく変わってきます。
相続登記は、早めに現状を把握すること自体に大きな意味があるのです。
名古屋市では、交通利便性の高いエリアと、そうでないエリアとの差が年々広がっています。
「昔は住みやすかったけれど、今は車がないと不便」
「子ども世代はすでに市外・県外で生活している」
こうした理由から、相続した実家を使わないまま保有し続けるケースが増えています。
空き家のまま放置すると、建物の老朽化だけでなく、近隣への影響や管理責任の問題も生じます。また、不動産市場全体としては、今後も人口減少と高齢者の相続増加により、特に居住用不動産の需給バランスは厳しくなると予想されています。
売却を選択するかどうかは別として、「持ち続けるコスト」と「手放すタイミング」は、冷静に比較しておく必要があります。