相続という言葉に、どのようなイメージを持たれるでしょうか。
突然のご不幸で身近な方を亡くされた後、感情の整理もままならない中で、多くの手続きや対応に追われることになります。その中でも、不動産の名義変更、つまり「相続登記」は、実際に日常生活で関わる機会が少ないため、つい後回しになってしまう方が少なくありません。
しかし、相続登記は“いつかやればいい”という手続きではありません。現代社会では、家族の形が多様化し、相続人が複雑になったり、長年連絡を取っていない親族がいたりするケースも増えています。そのため、名義変更をせずに放置すると、時間の経過とともに手続きが難しくなり、いざというときに大きなトラブルに発展することもあります。
たとえば、相続人のうち誰かが亡くなってしまった場合、相続人がさらに増えて手続きが煩雑になります。あるいは、将来その不動産を売却しようと思ったとき、「名義が亡くなった方のまま」では売却することも、金融機関から融資を受けることもできません。いわば、不動産が“動かせない財産”になってしまうのです。
さらに、令和6年4月からは相続登記が義務化され、期限内に手続きを行わないと10万円以下の過料が科される可能性もあるなど、社会的な対応も大きく変わりつつあります。このように、相続登記をしないことでの不利益は決して小さくなく、今や「やっておいた方がよい手続き」から「やらなければならない手続き」へと変化しています。
本記事では、「ここだけは押さえておきたい」と言える相続登記のポイントを、経験豊富な司法書士兼宅地建物取引士の視点から、3つに絞ってわかりやすくご紹介いたします。不動産や法律に詳しくない方でも安心して読み進めていただけるよう、やさしく丁寧な表現を心がけました。
相続登記について考え始めるきっかけとして、ぜひお役立てください。