マンション1棟を相続したら読んでください。
戸建てや土地の相続ではない、収益物件のご相続
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1 実は複雑な「1棟マンション」という不動産の構造

相続する不動産が「1棟のマンション」と聞くと、建物がひとつであるために「単純な構造なのでは」と思われがちです。
しかし、実際には、1棟のマンションという不動産は、登記、構造、用途、税務などあらゆる面において複雑な要素を多く含んでいます。
そのため、戸建て住宅や更地などの相続と比べて、はるかに高度な理解と手続きが求められるケースが多く見受けられます。

まず、基本的な理解として知っておいていただきたいのは、「不動産=土地+建物」であるということです。
たとえ建物が一棟であっても、土地は借地である場合もありますし、複数の筆に分かれていることもあります。
また、土地と建物の所有者が一致していない、あるいは土地の一部が相続登記されずに古い名義のままになっているということも珍しくありません。

建物についても、外から見れば「マンション1棟」に見えるかもしれませんが、その中身は意外と入り組んでいます。
たとえば、1階は店舗、2階から上は住居というような複合用途建物になっている場合、登記簿上では「共同住宅および店舗」などと記載され、その内容に即した評価や手続きが必要になります。
また、過去にリフォームや改築を繰り返している場合には、実際の構造が登記簿の記載と異なっていることも多く、法務局での登記手続きにあたって補足資料や建築確認書などが求められることもあります。

特に昭和40年代〜60年代に建築されたマンションは、現在の建築基準法に適合していない「既存不適格建物」であることが少なくなく、再建築や大規模修繕の際に制限を受ける可能性があります。
このような建物を相続する際には、登記だけでなく、今後の活用や売却を見据えて建築士などの専門家に現況を確認してもらうことが有効です。

また、見落とされがちな点として、「敷地権」の登記がされていない古いマンションの場合があります。
これは、区分所有法が整備される前に建てられた物件などに多く見られるもので、建物部分は登記されていても、敷地である土地の権利関係が不明瞭なままになっていることがあります。
このような状態では、金融機関による評価が難しく、将来的な売却時や相続税の申告において不利になる可能性があるため、早期に整理しておくことが大切です。

さらに、マンション1棟を賃貸用として運用している場合、その物件は収益不動産としての側面を持ちます。
これにより、不動産の価値は「路線価」や「固定資産税評価額」だけでなく、「収益還元法」といった独自の計算が必要となり、相続税評価額が思った以上に高額になるリスクがあります。
とくに、立地が良い都市部や、借主が法人である場合などは、安定収益物件と評価されやすく、税務上の注意が必要です。

また、相続対象のマンションに借家人(テナント)がいる場合、建物の登記上は何ら問題がなくても、実際の使用状況や賃貸契約の内容を踏まえた対応が必要になります。
「オーナーチェンジ」にあたるため、相続後も賃貸契約は基本的にそのまま引き継がれますが、賃料の入金先変更や敷金の管理、修繕費用の負担などについて、管理会社との調整が発生することもあります。
このように、建物だけでなく、その運用実態も相続に影響を与えるのです。

さらに、登記実務においては、一棟建物を構成する各部屋の内部構造や使用状況に関する確認書類の提出が必要になるケースもあります。
特に建物の一部が「未登記建物」である場合、相続前に建物表題登記や合体登記を済ませた方がよいこともあります。
この点については、司法書士と土地家屋調査士が連携して対応する必要があり、事前の調査と準備が欠かせません。

このように、「マンション1棟」という言葉の裏には、土地の権利関係、建物の構造や利用状況、収益性、登記の整合性、税務評価など、非常に多面的な確認ポイントが存在するのです。
そのため、戸建て住宅や一筆の土地とは異なり、1棟マンションの相続登記には、不動産登記の専門家である司法書士に加え、不動産の収益性や法的課題に精通した宅地建物取引士の視点が不可欠だといえるでしょう。

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2 相続人が複数いると調整が難しい

マンション1棟を相続する場面で最も多く寄せられるご相談の一つが、**「相続人同士の意見がまとまらない」**という問題です。

特にご両親が他界されたあと、兄弟姉妹が複数いるケースでは、遺言書がない場合や、遺言書の内容に一部の相続人が納得していない場合などに、マンションの相続方法や管理方針についての意見の対立が顕著になります。

たとえば、長男は「自分がすべて引き継ぎ、責任をもって管理したい」と考えていても、次男や長女は「不動産よりも現金で相続したい」と希望していたり、「名義は共有にして家賃収入を分配してほしい」と求めることがあります。
また、相続人の一人が遠方に住んでいたり、海外在住である場合、手続きのための書類のやり取りや意思確認に多大な時間を要することも少なくありません。

実際の相続登記においては、遺産分割協議が整わない限り、誰もその不動産を単独名義に変更することができません。
たとえ相続人全員が「この不動産は長男が引き継ぐ」と口頭で合意していたとしても、正式な遺産分割協議書を作成し、全員が署名押印しない限り、登記手続きはできないのです。

また、「共有名義にすればとりあえず登記はできるのでは?」という考えで、安易に相続人全員で共有登記をしてしまうケースもありますが、これは将来的にさらに大きな問題を引き起こす原因となります。

たとえば、相続人3人で1/3ずつの共有登記をした場合、今後マンションを売却したいと考えたときには、3人全員の同意が必要になります。
1人でも売却に反対すれば、売却は成立しませんし、その間に1人が亡くなってしまえば、今度はその人の相続人(配偶者や子どもなど)との協議が必要になります。
このようにして、共有者が世代交代とともに増えていくことで、マンションの「管理不能」「売却不能」状態に陥ることが現実に起こりうるのです。

また、相続登記がなされないまま長期間放置されると、法的な所有者が不明確なままとなり、第三者との契約(売買・担保設定など)ができなくなるだけでなく、建物の修繕や管理が困難になることもあります。
さらに、相続登記の義務化(令和6年4月1日から施行)により、相続を知った日から3年以内に登記をしなければ、10万円以下の過料が科される可能性もあるため、放置はリスクを伴います。

加えて、共有名義で相続されたマンションから発生する家賃収入についても問題があります。
毎月の家賃が入ってきても、収益をどのように分けるのか、どの口座に入金されるのか、管理費や修繕費の負担割合はどうするのか──
具体的な取り決めをしていなければ、後々トラブルに発展するケースが非常に多いのです。
また、不動産所得として確定申告が必要になるため、相続人全員が毎年申告を行うことになりますが、これを面倒に感じて非協力的になる相続人がいると、税務トラブルの火種にもなります。

このようなトラブルを回避するためには、相続発生後、できるだけ早い段階で相続人同士が協議を行い、1人の名義にまとめることを目指すことが重要です。
たとえば、不動産を引き継ぐ相続人がほかの相続人に対して代償金(現金)を支払う「代償分割」という方法を用いれば、現金と不動産という異なる財産で公平に相続することが可能になります。

そのためには、不動産の適正な評価を行い、相続税の見通しを立てたうえで、司法書士や税理士、不動産の専門家のアドバイスを受けながら、法的にも実務的にも問題のない協議書を作成することが不可欠です。

相続人が複数いる状況で、感情的な対立が起きることもありますが、早い段階で第三者である専門家に介入してもらうことで、客観的で冷静な判断に導きやすくなるというメリットもあります。

「家族で話し合っているけど、なかなか決まらない」
「兄弟同士で感情的になってしまい、話し合いが進まない」
そんなときこそ、早めに専門家に相談することで、円満な相続への第一歩が踏み出せるのです。

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3 収益物件としての相続と税務リスク

相続するマンションが収益物件、すなわち他人に賃貸している不動産である場合、その相続には一般の居住用不動産とは異なる法的・税務的・実務的な注意点があります。
「相続して家賃収入が入るならありがたい」と思われる方も多いのですが、実際にはメリットばかりではなく、相続後に発生する義務やリスクも数多く存在します。

まず、最も重要なポイントの一つが相続税の評価方法です。
自宅などの実需用不動産と異なり、収益物件はその名のとおり「収益を生み出す資産」であり、税務上の評価にあたっては**「路線価評価+借家権減価」「収益還元法」などを組み合わせた複雑な計算**が必要になります。
表面的な固定資産税評価額や公示価格だけでは不十分で、実際の空室率などが相続税評価に影響します。

たとえば、満室稼働中の築浅マンションで、家賃が安定して入っている物件であれば、「収益性が高い」として評価額が上がりやすくなります。
逆に、老朽化が進み空室が目立つ物件では、実勢価格も下がる傾向にあるため、相続税評価額も低く抑えられることがあります。
しかし、この判断は素人には難しく、税理士や不動産評価の専門家の意見を踏まえないと正確な申告ができない可能性があります。

加えて注意すべきは、相続後すぐに家賃が相続人に入ってくるわけではないという点です。
賃貸借契約は通常、被相続人(亡くなった方)名義で締結されているため、相続によって所有権が移転したとしても、正式に引き継ぎの手続き(賃貸借契約の承継通知や管理会社との契約変更など)を行う必要があります。
これを怠ると、入金先口座が旧名義のままで凍結されてしまったり、敷金や修繕負担の所在が不明確になるといった問題が発生します。

また、相続人が複数いる場合、その家賃収入をどう分けるかという点でもトラブルの原因になりやすいです。
特に、登記名義が共有の場合、全員の合意なくして物件の売却や賃料収入の分配ができないため、収益の管理が煩雑になります。
さらに、税務上は各相続人ごとに不動産所得として申告義務が生じるため、毎年の確定申告時期になると、誰がどのように申告するかで意見が割れることもしばしばです。

不動産所得は、収入から必要経費(固定資産税、修繕費、管理費など)を差し引いて算出しますが、これを正しく把握し、経費をどう按分するかという点にも細かな検討が必要です。
特に、マンションの管理がずさんな状態で相続された場合、経費がかさみ、収益性が実質的に低下していることもあり、見た目の「高収益」に惑わされない冷静な分析が必要です。

さらに、相続税の納税資金という視点でも収益物件にはリスクがあります。
収益物件は現金のようにすぐに分けられるものではないため、相続税の納付にあたって現金が不足するという事態がしばしば発生します。
このような場合、物件を売却して納税資金を作るという選択肢もありますが、登記名義が複数人の共有になっていると、全員の同意が必要なため、売却までに相当な時間がかかる可能性があります。

また、近年の税制改正により、相続税対策として不動産を活用することのハードルが高くなってきている点にも注意が必要です。
一部の高額物件に対しては、国税庁が実勢価格との差異をチェックする動きも強まっており、「適正な評価がされていない」と判断されると追徴課税や修正申告を求められるリスクも無視できません。

さらに、収益物件には管理上のリスクもあります。
たとえば、建物の老朽化による修繕や、テナント退去後の原状回復、家賃滞納者への対応など、所有者としての責任を負うべき事柄が多岐にわたります。
相続したマンションが築年数の経った物件であれば、修繕積立金が不足していたり、外壁のひび割れなどが放置されていたりする場合もあり、想定外の出費が発生することも珍しくありません。

このように、収益物件を相続するということは、単に資産を受け継ぐだけでなく、賃貸経営者としての責任とリスクも一緒に受け継ぐということなのです。
「家賃が入るから得だろう」と安易に考えるのではなく、収支、登記、税務、管理のすべてに目を向けたうえで、事前に対策を講じることが極めて重要です。

司法書士としては、登記実務のサポートだけでなく、こうした不動産のリスクや運用上の課題についてもお客様と丁寧に向き合い、その方の状況に応じたオーダーメイドのアドバイスを提供しています。
相続によって手にした資産を、安心して将来につなげていくためには、初動での正確な判断が何よりも大切です。

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