相続登記の義務化が始まってから、名古屋でも「うちは昔の相続だから関係ないと思っていました」というご相談がかなり増えています。特に、親御さんが亡くなられてから何年も経っているケースでは、「固定資産税は払っている」「家族の間で話はまとまっている」「実家にそのまま住んでいる」といった理由から、名義変更を後回しにしていた方も少なくありません。
しかし、令和6年4月1日から始まった相続登記の義務化は、新しく発生した相続だけでなく、過去に発生していた相続にも影響します。すでに相続が発生している不動産についても、一定期間内に相続登記を行う必要があり、正当な理由なく放置した場合には10万円以下の過料の対象となる可能性があります。
もっとも、実際には「急に罰則が来る」というよりも、それ以前に別の問題が起きることが多いのが現実です。たとえば、相続人の一人が亡くなってさらに相続が発生し、相続関係が複雑になるケース。兄弟間ではまとまっていても、その次の世代になると話し合いが難しくなるケース。あるいは、名古屋市内の実家を売却しようとした段階で、相続登記が未了だったため手続きが止まってしまうケースなどです。
最近は、名古屋でも空き家問題への関心が高まっています。昭和期に建築された戸建て住宅では、建物の老朽化や維持管理の負担、将来的な売却の難しさが問題になることもあります。特に、今後は高齢化による不動産の供給増加や、人口減少による地域ごとの需要格差も意識しなければならない時代です。「とりあえず置いておけば価値が上がる」という時代ではなくなりつつあります。
そのため、相続登記は単なる名義変更ではなく、「その不動産を今後どうするか」を考える入口でもあります。住み続けるのか、売却するのか、賃貸として活用するのか、それとも将来の相続対策まで見据えるのかによって、必要な準備も変わってきます。
特に名古屋では、同じ市内でもエリアによって不動産の流動性や資産価値に差があります。駅近のマンションと郊外の戸建てでは、今後の市場性も異なります。相続登記だけを機械的に進めるのではなく、不動産の現実的な価値や将来性まで踏まえて考えることが、これからの相続ではますます重要になっています。