司法書士が、知っている者同士の不動産売買を事例で解説します。
ご自身の取引に近い事例をご覧ください。
ごとう司法書士事務所
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不動産売買で参考にしたい事例を3つご紹介します。
専門家の知見を参考にして役立てましょう
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1

事例1:親子間売買の落とし穴

ケースの概要

Aさん(父)からBさん(息子)へ、相続を見越して居住用不動産を売却した事例です。Aさんは高齢となり、自身が元気なうちに名義を移し、将来の相続トラブルを避けたいと考えていました。そこで、実際の市場価格よりも大幅に低い金額で売買契約を締結し、登記手続きも完了。しかし、後日、税務署から「この取引は形式上の売買であり、実質的には贈与とみなされる可能性がある」との指摘を受けました。結果として、Bさんには贈与税の申告と納税が求められる事態となってしまいました。

解説

親子間での不動産売買は、形式的には第三者との取引と同様に見えても、税務上は特別な注意が必要です。特に売買価格が著しく低い場合、税務署は実勢価格との差額を「みなし贈与」と判断することがあり、その場合、贈与税が課税されます。税額は決して軽くはなく、評価額や関係性によっては数百万円単位になることもあります。

また、売買である以上、対価の授受(代金の支払い)があったことを証明する必要があります。口座振込や領収書など、第三者が見ても明確に取引実態が確認できる証拠を用意することが重要です。さらに、契約書には売買の動機、条件、引渡し時期、支払い方法などを具体的に記載し、形式的ではなく実態に即したものにする必要があります。

司法書士としてこのようなケースに関与する際には、取引価格の妥当性を検証し、必要に応じて不動産鑑定士や税理士と連携して対応を図ります。また、税務リスクを最小限に抑えるため、事前に税務署への相談や申告シミュレーションを行うことも検討されるべきです。

親子間とはいえ、売買契約はあくまで法律行為です。感情や信頼だけに依存せず、第三者の視点で客観的に内容を整えることが、後悔しない不動産取引の第一歩となります。

Point
2

事例2:知人間売買で起きた境界トラブル

ケースの概要

Cさんは、長年の友人であるDさんから、自宅の隣接地である土地を購入することになりました。昔からの付き合いがあり、土地の利用目的も理解し合っていたことから、不動産会社を介さずに、直接二人で話し合って売買契約を進めることになりました。ところが、売買契約締結後に隣接する第三者から「一部の土地はうちの所有地だ」との申し立てがあり、境界線に関するトラブルが発覚しました。

調べてみると、確かに登記簿上の地積と実測値に差があり、問題となった部分は、実際には隣地の所有者の筆界内である可能性が高いことが判明。Cさんは予定していた建築計画を中断せざるを得なくなり、最終的には境界確定訴訟にまで発展しました。費用だけでなく時間的な損失も大きく、信頼していたDさんとの関係にも亀裂が入ってしまいました。

解説

個人間で土地を売買する際に最も見落とされやすいのが「境界の確定」です。不動産会社が介在する場合、通常は事前に境界確認書や測量図の確認が行われますが、個人間取引ではこうした手続きが省略されてしまうことが多く、結果として境界トラブルにつながるのです。

登記簿に記載された面積(公簿面積)と実際の土地の大きさ(実測面積)が一致しているとは限りません。特に昔の測量技術で作成された図面では、現地と登記情報がずれていることも珍しくありません。したがって、売買の前には必ず現地確認を行い、必要に応じて土地家屋調査士による境界確認や測量を依頼することが重要です。

さらに、隣接地の所有者との立ち合いによって、書面で境界を明確にする「境界確認書」の取得も大切です。これにより、将来的にトラブルになる可能性を大きく減らすことができます。仮に境界が不明確なまま契約を結んでしまうと、購入後に建築・売却・融資などの手続きに支障が出る可能性もあるため、注意が必要です。

司法書士としては、登記手続きの前に売買対象不動産の現況確認や資料収集を行い、必要に応じて専門士業と連携して法的リスクを洗い出すことが求められます。境界に関する不安がある場合は、決してそのまま進めず、早い段階で専門家に相談することが、安心・安全な取引への第一歩となります。

Point
3

事例3:契約内容の不備でトラブルに

ケースの概要

Eさんは、古くからの知人であるFさんに対して、自身が所有していた中古住宅を売却することにしました。お互いの信頼関係が厚く、「話し合いで解決できる」との思いから、不動産会社や専門家に相談することなく、インターネットで見つけたひな形を参考に売買契約書を作成し、手続きを進めました。物件の状態についても、Eさんが「問題はない」と口頭で伝えただけで、詳細な説明書類や物件状況報告書などは交わされませんでした。

契約後、Fさんが実際に住み始めると、雨漏り、床の傾き、配管からの異音といった複数の問題が次々に発覚。「このような不具合について何も説明を受けていなかった」として、FさんはEさんに対して修繕費用の一部負担を求めることとなり、関係が悪化。やがて話し合いは決裂し、最終的には弁護士を通じて損害賠償請求がなされる事態となりました。

解説

個人間売買における最も多いトラブルの一つが、「契約内容の不備」に起因するものです。不動産会社が介在しない取引では、重要事項説明書や物件状況報告書のような詳細な情報提供が省略されがちです。しかし、不動産の状態に関する説明は、売主に一定の責任が課せられる部分であり、後から「知らなかった」「説明されていない」としてトラブルになるケースは少なくありません。

このような問題を防ぐには、まず売主側が誠実に物件の現況を開示し、買主が納得した上で契約に進むことが大前提です。具体的には、物件状況報告書を用意し、雨漏り、シロアリ、配管、基礎など建物の主要部分に関する既知の不具合や修繕履歴を明記する必要があります。また、設備表を添付し、エアコン、給湯器、ガスコンロなどの状態も正確に記載することで、引き渡し後の誤解を防ぐことができます。

契約書自体も、インターネットのひな形をそのまま使うのではなく、物件ごとの状況や当事者の合意内容に応じてオーダーメイドで作成するのが理想です。瑕疵担保責任の有無や期間、引渡し条件、解除事由など、将来のトラブルを未然に防ぐための項目を盛り込むことで、契約の安定性が大きく向上します。

司法書士は、契約書の法的妥当性を確認し、当事者が理解・納得したうえで契約を結ぶよう支援する立場です。必要に応じて、契約前に物件調査を行い、税務・登記面も含めた包括的なチェックを行うことで、安全な取引の実現に貢献します。たとえ信頼関係がある相手であっても、「口約束」や「お互い様」で済ませることなく、文書に残すことで、後の安心を得ることができるのです。

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